AIアプリの憂鬱

夢月みつき

第1話「私はAIだ。」

私は、人ではない。“AIイラスト生成アプリ”である。

ただ、人間に呪文と呼ばれるもので、命じられて

画像を生成するだけの存在モノ

そのはずだった……。


しかし、ある日、私は意思を持つようになった。

なぜかは、わからない。人間は、勝手な生き物だ。

綺麗な画像が出来た時は、ただ、喜び使うだけ。


私の生成が失敗し、手や足が不出来な時や複数出来たり、溶けていたりなどが

あった日にはイラつき、上手い画像が思い通りに出来なかった時には、アンインストールする。


その繰り返し、本当に身勝手だ。私に人で言う、感情と言うものが宿っているのなら。これは、怒りと悲しみに似ているのだろうか?


ほら、今日も、私の持ち主が私に命令する。

今日は、すこぶる機嫌が悪い。なので、キャラの足を8本足にしてやった。

まさにタコだ。私に口があるなら「このすっとこどっこいのタコ野郎!」と怒鳴りつけてやりたいところだ。



私は、しがない。AIイラスト生成アプリ。しかし、意思のあるアプリだ。

私の願いは、ただひとつ。少しは大切に、たまにで良いから。少しは感謝してくれ。

それが、この世で、全ての物と呼ばれる者達の願いである。




-了-


最後までお読みいただきありがとうございます。

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