解説資料-09
章が終わったのでおなじみの解説資料です。
この六章、前半に派手に戦闘があった以後は平和な日常(?)でしたが……。
なんと気付くと二十六話もあって、三章(二十話)より長かったです。
なんか盛り上がり処のわかりにくい章ですよね……。
起承転結を無視しまくった章だからかもですが。
やはりそのあたりは大事だった(ぉ
【登場人物】
〇コウ(
地球からの転移来訪者で、ほとんどあり得ない全
今回、ありえないほど強力な存在を前に、地球のうろ覚えの科学知識を応用して、この世界ではありえないほどに強力な法術を編み出してしまった。
もっともいろいろ偶然が重なった結果ではあるのだが(後述)
もう使うべきではないとは思っているが、その一方でもし同じ存在が出た時のことを考え、法術として確立すべきかは悩み中。
古代国家エルスベルの映像を見て、この世界で一部の認識が異様なほど発達しているのが、エルスベルからの伝承の結果ではないかと考えている。
実際、根拠もなしに衛生観念や環境への配慮への意識がありすぎているとは思っていた。
ドルヴェグの鍛冶師ヴァングが刀の製法を見出してしまったっぽく、この世界に新たな文化を持ち込んだことになるが、このくらいはいいかと開き直っている。
ちなみにヴァングに作ってもらった脇差にはあとで当然法術をいろいろ籠めたが、そのあたりは後々に。
エルフィナと恋人同士になってはいるが、コウの感覚ではまだ付き合い始めたばかりだし、コウ自身の貞操観念などは育ての親である橘老の教えもあって、ものすごく古臭い。加えて、コウ自身がいろいろズレてるのもあって、感覚的には健全な高校生くらいの感覚で付き合っていて、基本、結婚するまで手を出すべきではないと思っている。ぶっちゃけ、昭和の感覚とも(笑)
〇エルフィナ 百五十五歳・女性
全属性の精霊を使役可能な、規格外の
なぜか古代国家エルスベルの
現状、理由は一切不明。
そのせいで自分の出自にも少し悩むが、コウと一緒にいれるならいいやと思っているところもある。
また、エルフィナの持つ
・耐久強化
・軽量化
・使用者限定(エルフィナのみ)
・盗難防止(エルフィナから一定距離離れたら極度に重くなる)
・攻撃力強化
・衝撃緩和
・自己再生
買うと金貨五十枚(およそ一億円)というとんでもないシロモノだとわかったわけだが、盗み出すのも不可能に近い。
ちなみに、宝石粉を混ぜた、いわゆる
コウとは両想いになれているわけだが、コウが手を出してくれないので、時々実は不満に思っている。結局、今のところ手を繋いだり抱き合ったりするだけで満足してるのと、本人もその先のことはよくわかっていないのだが(笑)
このあたり、結婚しない限り手を出そうとしないコウと、そもそも結婚というものを重視してないエルフィナですれ違いが起きてるわけだが、ちゃんと話さないとまず解消しないすれ違いだと思われる。
〇ガルズ・ディグワーズ 百十六歳・男性
そういえばフルネーム初公開だ(笑)
ドルヴェグに属する
つまりとてもお偉いさん。
なのだが本人は自由気ままに商売しつつ、各地の情報を集めては国に戻ったらいろいろ仕事したりしている。
ドルヴェグに大きな屋敷を持っているが、そこにいるのは一年の半分弱程度。
あとはどっかに商売に出向いている。
若干ワーカーホリック気味。
〇グライゼル・ディグワーズ 百六十四歳・男性
現ドルヴェグ国王。在位百二十年になる。
ちなみにこれは、さすがに歴代王でもかなり長い方であり、あと数年で最長記録となる。
百年ほど前に、彼が現在の様なドルヴェグの厳しい入街管理を行うようにしたのだが、開始当時は相当な反発があった模様。
しかし結果として、貴重な遺跡財宝の管理は成功し、さらに技術の保全にも役立ったため、彼の在位の間にドルヴェグは大きく発展している。
その一つが彼が敷設を進めた
名君として知られており、また、帝国皇帝プラウディスの友でもある。
彼にとっても、プラウディス帝は息子の様なもの。
さすがに老境の域に入ってはいるが、まだまだ元気。
ちなみに息子や孫もたくさんいるが、後継者としているのは孫の一人。
若い頃は実は継承権者ではなかったので冒険者をやっていたが、前王も在位が非常に長かったため、気付けば王太子に任じられていた。
〇ヴァング 百七歳・男性
ドルヴェグで鍛冶屋を営む
今回、コウの刀をみせてもらったことで、その製法を見出して刀の製造に成功。
今後さらにその精度を上げるようになるが、そのせいで注文が滞って、弟子が苦労することになる。いつものことらしいが。
〇ドルアーグ 百八十六歳・男性
ドルヴェグの冒険者ギルドのギルド長。
本人も昔は冒険者だったが、今は引退している。
かつて現役だった時、グライゼルの仲間だったこともある。
ドルヴェグの冒険者ギルドはその特殊性ゆえ、どちらかというとこのドルアーグのお茶飲み場という説もある(マテ)
〇アルバ 年齢不明(十台半ばと推測)・男性
今回、
今回はいいところなく、コウのぶっ放した[
とはいえ、爆心地からわずか
〇レガンダ 年齢不明(二十歳前後と推測)・男性
アルバと共に[
本来は、支配術式を使って
このところ失敗続き。
作者の都合だがかわいそうになってきた(笑)
〇ワイン、バーボル、ウィスキア
ドルヴェグ王国の一都市、コルドイアを拠点とする傭兵仲間。
ワインとバーボルはともに三十三歳の男性。
ワインは近接戦を得意とし、バーボルは法術も近接戦もこなす。
ウィスキアは三十二歳の女性で、弓と法術を使う。
傭兵は武器か法術に特化している者が多いので、少し珍しく、彼らは冒険者的な仕事の請け方をしているようだ。
酒の名前っぽくなってるのはただのお遊びです(ぉぃ
〇グーデンス・ファルケ・バストラード 三十五歳・男性
帝国で
非常に丁寧な物腰で話すが、コウもエルフィナも油断できない相手だと感じた。
皇帝であるプラウディス四世に絶対の忠誠を誓っている。
その実力を見せる場面はなかったが、武術も法術も極めて高いレベルで身に着けており、並の騎士はもちろん、冒険者とも互角以上に渡り合える能力の持ち主である。
〇
詳細不明。
古代に存在した統一国家エルスベルで高い地位にあったと思われる存在。
なぜかエルフィナと
しかし本人に関する情報は、システムからは抹消されていたため、詳しいことは一切分からない。
【地名】
〇フェルゼン王国
フェルゼン大湿地帯(詳細は解説資料-08参照)の名を冠する王国。
国土の大半が湿地帯ではあるが、帝国の一角をなす国。
今回はコウとエルフィナは文字通り通過しただけ。
全体的にのどかな国で、雰囲気は宗教対立がなくてのんびりした東南アジアみたいな感じ。
〇ドルヴェグ王国
大陸随一の工業都市として知られるドルヴェグを王都とする帝国の一角をなす王国にして、帝国でも最古の王国の一つ。
王国といっても、王都であるドルヴェグと、その北方、フェルゼン大湿地帯と帝都のある平野部を結ぶ、山脈の間の丘陵地帯にある城塞都市コルドイアと、帝都南部にある城塞都市オルケイアの三つの都市に人口の大半は集中し、それ以外は鉱山採掘や遺跡探索のための集落がいくつかある程度。
人口も国全体で七十万人と多くはない。
この国最大の特徴は、大陸全土で唯一、
代々
その割に国王は現王で第十四代と、非常に少なく、
建国したのはラグドルフという洞妖精で、およそ千年前と、帝国とほぼ同時期。
そして直後、ドルヴェグはグラスベルク帝国の一王国として編入される。
建国当時の王都はコルドイアだったが、四百年ほど前にドルヴェグに遷都した。
現在の国王はグライゼル・ディグワーズ。在位百二十年にもなる。
〇王都ドルヴェグ
国と同じ名を冠した王都。人口は十万人ほど。
ドルヴェグの街は住民のほとんどが
元々有望な鉱脈が多くあったらしく、
そのため幾度となく戦争に巻き込まれ、支配者も幾度も変わっている。
その都度、防衛のために街が地下に造られるようになったらしい。
その後、一度魔獣被害などの影響で破棄された後、四百年ほど前にドルヴェグ王国がこの地を王都と定めて年を建造、百年ほど前、今のグライゼル王がドルヴェグの立ち入りを厳しく制限した。
良質な鉱山と貴重な遺跡を数多く持つ都市だが、その出入りは極めて厳しく管理されていて、山の上という厳しい環境もあって旅人が立ち寄ることはほとんどない。
滅多に旅人など来ることもないため、なんとこの街には宿がない。
たまにわかってなくて来てしまう人がいて、そういう人のためにいわゆる門前町的なものが小規模ではあるが存在するが、簡易宿があるだけである。
基本、碁盤目状に大通りが配置され、その通りに
〇グラスベルク帝国
大陸中央部を支配する大陸最大の国家。
帝国という名の通り、複数の王国の連合国家である。
帝都ヴェンテンブルグは大陸最大の都として知られ、広大な湖のほとりにある。
また、この場所はコウとエルフィナが遺跡で見た、かつてエルスベル時代に大都市があった場所と同じであると思われる。
次の章の舞台。
【その他】
〇
コウとエルフィナが戦った謎の存在。
実は、本来の
本来の
発生後に次々と
というか達したら倒す手段など普通はない。
ただ今回は
本来は
もっとも、失敗してもいいや、程度の計画だったが。
ちなみに一応、最悪の場合に備えて自壊用の術は組み込まれていたらしい。
何もかもまとめて蒸発してしまったが。
〇[
というのは、コウも『原子核が衝突したら核融合が起きる』ということは理解してたし、それを科学技術で再現するためには、超高温超高圧の、物質がプラズマ化する環境で、原子核と電子が自由に動いて偶然衝突することが必要というのは知っていた(作者も高校時代いろいろこの手の話は好きだったのでブルーバックスとか読んで知ってました)
ただ、そんな膨大なエネルギーが蓄積された状況を作るのは法術では難しく、一方で限定的な物質の座標の書き換えによって、強制的に衝突させる法術が構築できそうだった(ただし百文字以上必要だった)ので、それで強引に核融合反応を起こしたのがあの法術である。
ただ本来なら、実はあの完成体の
ところが、コウはあの時
そのため、発生したエネルギーの逃げ場はほとんどなく、あの空間内に充満、図らずも核融合が発生する要件を満たした
よってあの閉鎖空間の中は、瞬間的に数億度以上というデタラメな状態が発生している。いかに
といっても全部が反応したわけではなく、大半はプラズマ化しただけではあるが、それでも膨大なエネルギーがあの中に押し込められている状態だった。
そして、そんなエネルギーを放出しようものなら、文字通り世界を焼き尽くしていたのだが、同時にこのエネルギーは放出前に急速に失われていた。というのは、本来核融合反応というのは強力な磁場などで封じ込める(これは現代でも研究さえれてます)が、コウは法術の障壁を数百枚重ねて無理矢理封じ込めていた。さらに、その障壁には接触したエネルギーを光に変換して放出する能力を持たせている。障壁が光り輝いたのはこれが理由。
発生したエネルギーが膨大過ぎたため、到底変換しきれず障壁はどんどん削られたが、その障壁を削るのに膨大なエネルギーが失われていて、結果、障壁によってエネルギーは大幅に減衰されていた。最後にまだ障壁が残っていたが、実は、あれはすでに障壁の八割以上が失われていた状態である。
そのおかげで、解放時点ではエネルギーは大幅に減衰していたので、あの程度で済んだ。解放された威力はTNT火薬換算でおよそ五十キロトン程度(広島型原爆の約三倍)。本当に綱渡りの結果ああなった。
実のところは放射線も出てはいるが、その量は少量であるし、ほぼ直上に指向性を持たせて放出したので、コウ達含めて健康被害や自然への影響はほとんどない。
とはいえ、あの程度で済んだのはほとんど奇跡。
コウも残ってた障壁の枚数から、薄々相当危険だったと感じてる。
もし次使う時は、障壁の枚数をさらに増やして、かつ開放するのは宇宙(があると仮定して)の遥か彼方まで遠ざけてからになると思われる。
真空で解放すれば、膨大な熱エネルギーでも、膨張する物質がほとんどないので、影響は極めて小さくなるはず。
※素人のなんちゃって物理なので細かいツッコミはなしでお願いします(ぉぃ
※そこ、
やってることはほぼ同じですけどねっ。あっちのが環境に優しいけど(笑)
〇
皇帝守護の皇宮近衛騎士というのも当然いるが、それとは役割が違う。
近衛はあくまで守護のための兵だが、
場合によっては、傭兵などを使って部隊を編成することも許されるし、一定階級以下であれば、指揮権を強制譲渡させて、その部隊を指揮することすら出来る。
その存在自体は非常に有名なのだが、その実態は謎に包まれている。
皇帝によってその総数は結構まちまちで、現在は二十人ほどがいるといわれているが、その全容が明らかになったことは一度もない。
〇
古代国家エルスベルにいたとされるフィオネラに冠されていた称号である
神々の加護を強く享けた存在とされ、特に神殿の頂点である
ちなみに、一億人に一人という、ある意味
詳しくどういう定義であるのかは不明だが、神殿は見つけることができるらしい。
〇統一国家エルスベル
一万年前に存在してたとされる『エルスベル』の正体。
どうやら国家だったらしい。名称から察するに、大陸全土を治めていたか。
現在の地球よりもさらに進んだ文明を持ち、さらに住民のほとんどが
その法術の利用範囲は現在の比ではない。
ただし一万年前、
今回奇跡的に記録がある施設があったが、そこですら重要な情報はことごとく抹消されていた。
〇
大陸西方、聖都ファリウスにあるとされる時計のオリジナルの名称。
同時に『時計』を表すこの世界の言葉でもある。
そしてこれは、エルスベル時代にすでに存在したことが分かった。
また、この
つまり
〇
大陸西側で暗躍する謎の組織。
名前が出てきたのは最近だが、その組織はかなり広範囲にわたって活動しており、その実態は不明。
目的不明で各地で破壊活動などを行っているらしい。
アルバ、レガンダが属するのがこれである可能性は高い。
〇冒険者ギルド
乙枯様の『異世界考察』( https://kakuyomu.jp/works/16816452220348193626 )でも言及されている冒険者ギルド。
実際、この考察にあるように、ギルドというのは基本的に職業的な互助会でしかなく、国に従わない、かつ国家の枠を越えた組織が、少なくとも中世程度の世界観で成立することは、通常あり得ない。
しかしこの世界では、国に意見すらすることが可能な組織として成立している。
これには地球とは異なる理由がある。
実は、冒険者ギルドの歴史は、ファリウス聖教国を除く、現在存在するどこ国家よりも古い。
つまり、神殿に次いで古い組織である。
この世界は、九千年前から、神殿が国の権威を認めて地域の統治を認めるという形式をとり続けており、これは、現代でも変わっていない。バーランドのグライズ王子がこれを不服としてあのような行動まで起こすも、数千年続いていた慣習であり支持を得られなかったが。
そして神殿はあくまで神に従う組織であり、統治を認めた後は原則国とは一定の距離を取った存在となるスタンスだった。神の意志に著しく反した施政が行われない限り、神殿が国に口出しすることはない。
稀に、民を国が直接害するといったケースでごくまれに介入は起きていたらしいが、過去ほとんど実例はないという。バーランドで神殿が立ち上がったのは本当に珍しいケースである。
しかし神殿に所属する人々も人間。
神殿の間の人の行き来が頻繁ではない(
最初は、とある神殿と国が癒着し、その地域の人々が非常に苦しい状況になっていった。そしてそれを何とかしようと立ち上がった、一部の人々がいた。
これが、冒険者ギルドの始まりとされる。
今からおよそ六千年ほど前のことである。
彼らはファリウスの教皇の承認を得て、その地の人々を救済した。
具体的には国王を打倒、腐敗した神殿の神官たちを追放し、圧政を終わらせた。
その国は現在は残っていないが、王位が替わることで落ち着きはしたという。
その後、神殿は国、神殿以外にもう一つ組織があり、それらが相互に監視しあわなければ民の生活を安定させられない恐れがあると判断し、最初の集団を母体にして冒険者ギルドを作った。
最初はそういう名前ではないし、今の様な便利屋的な機能はなく、ただ民のために神殿と国を監視する役割を持った組織だった。
つまり冒険者ギルドは最初、神殿の援助を受けて誕生した、国と神殿の監視機構である。
ただその後、長い時間をかけて今の組織になった。
冒険者が民衆を第一に考える理念を持つのは、この誕生時の経緯が理由。
ちなみに冒険者ギルドの資金は各ギルド員の収めるお金以外に、神殿と国からの補助金も出ている。
非常に高い能力を持つ冒険者の存在は国にとっては厄介なこともあるが、軍を動かさずに治安を維持するのに都合がいいこともあり、国もある意味上手く利用しているところはある。
なお、冒険者ギルドには『総本部』というものがない。
一番大きいのは帝国の帝都ヴェンテンブルグにある冒険者ギルドだが、いわゆるギルド全体を統括するという考えがない。
これは、ギルドに所属する人間がそれぞれ考えて行動すべしという、一番最初の原型になった組織の考えが今も引き継がれているからである。
〇
ドルヴェグの地下にあった遺跡。
貴重なエルスベル時代の映像記録などが残されていて、制御のためのシステムも生きていた。
システムによると、王室が所持する記録を保管、
そもそも
施設の入口の壁は極めて強固で、少なくとも普通の武器では疵一つつかない。
〇
文字通り、バーチャルリアリティで映像を体験できる。
ただし、体験者に反応する、といった機能はない模様。
コウとエルフィナはこれで、古代エルスベル時代の都市の様子を体験した。
〇エルスベル時代の都市
名称不明。
古代エルスベル時代に、おそらくは現在帝都がある場所に存在したと思われる巨大都市。
上が見えないほどに高い塔など、現代の地球すら上回る高い建築技術があり、その都市が地平の彼方まで続いていた大都市。
そしてその都市の住民は、そのほとんどが
およそ一万年ほど前、
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