第18話旅行の終わり

旅行二日目の夕食も鏡子がセレクトしてくれたお店で過ごすとホテルに戻ってくる。

一人の部屋でベッドで横になるとスマホを手にした。

明日は昼前に空港に向かい帰宅という予定だった。

必要かはわからないのだがアラーム機能を利用して朝早くに起きれるようにセットする。

スマホをベッドの脇において目を閉じるとそのまま心地の良い酔いに任せたまま眠りにつくのであった。


眠りについてどれぐらいの時間が経っただろうか。

スマホが鳴り、もう朝がやってきたのかと目を開ける。

ベッドの脇においてあるスマホを手にすると画面を眺めた。

思った以上に熟睡していたようでアラームがしっかりと鳴っており、それを停止させた。

まだ若干眠いのだが無理矢理に目を覚ますためにシャワールームに向かうと全身の汗を流していった。

バスタオルで全身を拭くと着替えを済ませる。

荷物を整理してすぐにでも帰れる準備を整えると部屋の出口の側に置いておく。

もう一度スマホが鳴って画面を眺めると導から電話が掛かってきていた。

「朝食付き合って」

「了解。バイキングで良いんだよね?」

「うん。もう会場にいるから」

「すぐ行く」

電話を切ると導の待つバイキング会場へと向かうのであった。


二人きりの朝食が過ぎていくと遅れて目を覚ました女性陣から連絡が届く。

「導と一緒に居る?」

花音から連絡が届き返事を送る。

「バイキングに居るよ」

「またなのね。導にちゃんと荷物をカバンにしまうように伝えておいて。私は手伝わないから。って」

「わかった」

未だに食事に夢中の導にスマホの画面を見せると彼女は少しだけ焦ったような表情を浮かべた。

「早く食べないと」

それでも食事をやめるという選択にはならないようで導は食べる速度を上げていた。

そこから追加で一皿の食事を取ると僕らはバイキングを後にした。

「付き合ってくれてありがとう。街に戻ったら実家に帰るんだ。仕事が始まったら…海鮮料理のお店の予約しておくね」

「あぁ。水族館での話ね。よろしく」

導は嬉しそうに頷くと部屋へと戻っていく。

もう後、三十分もしない内にチェックアウトの時間なので僕は荷物を持ってロビーへと向かった。

ロビーのソファに腰掛けてしばらく彼女らを待っていると時間ギリギリで皆はやってくる。

「チェックアウトするよ」

鏡子の指示に従って僕らはホテル代を支払うと、その足で空港まで向かう。

余裕を持って飛行機に搭乗すると二、三時間のフライトの間、眠って過ごすのであった。


空港に戻ってくると僕らはその場で別れることになる。

「旅行楽しかったよ」

瑠璃が笑顔で口を開くと鏡子も頷いていた。

「鏡子は実家に帰らなくてよかったの?」

花音の問いかけに鏡子は顔をしかめて首を左右に振る。

「実家に帰ったら結婚の話とか口うるさくされそうだから…今年は帰らない」

「まぁそういう年頃だよね」

導もそれに同意するように少しだけ項垂れて言葉を口にする。

「私も帰ったら色々言われそう」

導は続けて口を開くと完全に嘆息していた。

「帰る人は色々頑張って」

瑠璃は皆を励ますような言葉を口にすると彼女らは面倒くさそうに頷く。

「とにかくこの楽しかった思い出を糧にお盆休みを切り抜けましょう」

最終的に瑠璃の言葉に同意した彼女らは荷物を手にする。

「彼方はお盆休みの間、何してるの?」

花音に問いかけられて僕は首を傾げた。

「特に予定は…」

「ふぅ〜ん。じゃあまた連絡するね」

「花音は帰らないの?」

「私も帰るけど。すぐ戻ってくると思う」

それになんとなしに頷いて応えると鏡子と瑠璃も言葉を口にする。

「私も一日ぐらいしか帰らないから。連絡するね」

「予定ない時、連絡する。とりあえず今日は帰って疲れを取ろう」

鏡子のまとめの言葉を耳にして僕らは空港を後にした。

そのまま各々の帰路に就くと旅行は完全に終了するのであった。

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