Episode07-09 「エミfeat.お仲間怪異軍団」の威力② 呆れるほどチート
今回の「六等穢界」に登場する怪異は、「
ちなみに「
一方「
鬼と名が付くだけあって、コイツの頭部には目立たない
ただ、全く特殊能力がゼロかと言うと、そうでもないらしく、どうやらこの「狗頭鬼」は周辺に居る「骸邪狗鬼」を強化する支援効果のようなモノを持っている模様。
幾度となく「七等」を浄化してきた過程で、一度、妙に強い「狗頭鬼×2匹+骸邪狗鬼5,6匹のセット」が穢界主として登場した時に感覚的に「分かった」事だ。苦労して狗頭鬼2匹のうち1匹を斃した結果、残った怪異の強さがガクンと下がったので「強化系の支援能力」を持っていると推察した訳だ。
とにかく「狗頭鬼」は支援効果のある強化スキルを持っている。
しかもその支援効果は狗頭鬼が複数居れば「重複」するし、同じ狗系鬼である自身にも効果を発揮する。
つまり、狗頭鬼が4匹に骸邪狗鬼が8匹という群れは支援効果が重複し合ってかなり強い……はずなのだが――
「ニャァァァッ!」
「キシャァァァッッ!」
「イヒヒヒィ!」
エミが呼び出した「お仲間怪異軍団」の
鵺はお得意の素早さ(六等の骸邪狗鬼を余裕で上回る)で敵集団をまとめてかく乱し、その隙に夜斗が集団に飛び込んで、青色にヌメっと光る鱗のヘビボディーを
一方、狒々は――
――ドォンッ!
(え?)
今、狒々のヤツ、口から火の玉を吐かなかったか?
とにかく、狒々が吐き出した火の玉によって複数の狗頭鬼と骸邪狗鬼が吹っ飛んだ。
そんな予想外の出来事に驚いている俺に向かって、ドヤ顔(猿顔だけど)を向けてくる狒々は、
「イヒッ」
「凄いだろ!」的な感じで笑い声を上げる。
(そんな隠し玉を持ってたのかよ、コイツは……)
どうやら、ただの酔いどれ小猿じゃなかったらしい。
と、俺が狒々の隠し玉(火の玉)に驚いている間にも、一方的な戦いは続いている。
いつの間にか大蛇化した夜斗が集団の中央で暴れまくり、弾き飛ばされた怪異を鵺が素早く各個撃破。こうなると、狗頭鬼が持っている支援効果なんて「屁のツッパリ」にもならない状況だ。
そして、極め付けは
「じゃぁ、私もぉ!」
真打登場、とばかりにエミが参戦。この時のエミは片手を前へ突き出し、極々小さな「光の玉」を2,3個生成すると、それを「えいっ!」と怪異目掛けて投げつけた。その結果、
――ドォォンンッ!
狒々が繰り出した火の玉の威力を余裕で上回る光の爆発が次々起こり、終わった後には怪異の痕跡すら消え去っていた。
(エミはともかく……俺って、こんな奴らを相手に修行させられてたの?)
今の戦闘を見せられて思う事はそんな事だ。これまで「エミ+お仲間怪異軍団」とは七等穢界に何度か入った事があるが、あの時は敵が弱過ぎたのだろう。結果的に戦闘は一瞬で終わっていたが、相手が弱すぎてこちら側の実力が見えてこなかった。
それが今、「そこそこ手強そう」な六等穢界の怪異集団と激突して分かった。これは、
(本気になったら……たぶん勝てないかも?)
というもの。
エハミ様の神界での「修行」は、たぶん彼等的には本当に「お遊び程度」だったのだろう。
――怪異の等級で言えば、四等だな――
という「諏訪さん」の言葉が脳裏に蘇る。
そう、鵺や夜斗たちの等級は「四等」なのだ。あくまで、諏訪さんが言う「等級」と「
そんな連中を相手に「修行」で通用したのだから、俺自身も
(四等穢界も、もしかしたら「行けるかも」って思っていたけど……あぶな)
という事。
(とんでもない罠だったな)
と思う。それと同時に、
(後ろで傍観している場合じゃないな……もっと自分を鍛えないと)
とも思う。別に「強さ」を追及する飽くなき探求心がある訳ではないが、流石にこんな実力を見せつけられると、俺でも自発的にそう思う。だから、
「迅、次は?」
と声を掛けてくるエミに、
「ああ……ちょっと相談なんだが」
俺は自分も前へ出て戦闘に加わる事を申し出る。この申し出は、
「オッケー」
彩音の真似だろうか? そんな口調のエミに簡単に受け入れられた。
******************
この後、俺も前へ出て怪異との闘いに加わり、それでも「お仲間怪異軍団」が圧倒的なので「もうちょっと下がってて」などとお願いしつつ、原野タイプの六等穢界を進む俺達。
特に「道」のようなモノが無い
とにかく、そんな感じで第2層に入ってしばらくしたところで、俺達(というか俺)にとっては初見の怪異と出くわした。
それは、最初地面に転がっている丸太のように見えた。ただ、丸太にしては曲線的に
――ノヅチ・ランク6――
という怪異。漢字で書くと「野槌」だろうか? とにかく、初めて見る怪異だ。それが、
「1、2、3……」
3匹同時に出現した。
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