Episode05-30 甘露の恩恵
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――上に居るのは、たぶん神よ――
別れ際にエミが言った言葉は衝撃的だった。上の階を目指そうとしていた足が「ピタッ」と止まったほど。そして、俺は思わず
――か、神って……神様の事?――
ちょっとビビリながら、そう問い掛けたものだった。
俺がイメージする「神」様とは、エハミ様とか諏訪さんのような「神」だ。どちらも、俺なんかでは到底、底を窺い知る事が出来ない強大な力を持っている。
正直言って、あんなの(ごめんなさい)が上の階に居るならば、俺(と彩音)がどうやったって太刀打ち出来るはずがない。
しかし、言い出したエミの方は、そんな俺の畏れを汲み取ったのか、大きく首を横に振ると
――あそこまでの神格は持たない小さな存在。でも「怪異」と呼ぶには少し違うから、他に呼び方が無くて「神」と呼ばれているだけ。神に似たモノと呼んだほうが良い――
と言う。そして、
――甘露を呑んだ迅と彩音なら、大丈夫……たぶん――
とも言った。
最後の方に小さく「たぶん」と聞こえた気がするけど……いや、それよりも、俺は「甘露を呑んだ」から「大丈夫」という
――神様の飲み物だもの――
とのこと。俺は「甘露」を「上級回復アイテム」くらいに考えていたが、どうやら、それほど単純なものではないらしい。
――飲めば、ちょっとだけ神様に近くなる――
思わず「なんだそりゃ」と言ってしまったが、「そういうモノ」なのだとか。ちなみに「彩音も――」となっているのは、俺に甘露を飲ませるために彼女も甘露を口に含んだからだとか(やっぱり口移しだったんだな)。
どうやら、彩音は最初にガツンと来る甘さに驚いて、事故的に最初の一口を吞み込んでしまったらしい。
――わたしが顕現化したから、迅に与えていた恩恵はなくなった。でも、それが無くなっても困らないほどの恩恵を甘露で得られたはず――
一方、エミはそういうと、
――後を追うから、行って、2人とも――
となった。
******************
という訳で現在、俺と彩音は4階を目指して階段を上っている。
ちなみに3階の方は「
階段を通り過ぎる際に、2体の姿がチラっと見えたが、「再度湧き」を警戒しているように、油断のない視線を新校舎の方へ送っていた。
そういう状況だったので、俺と彩音は3階を飛ばして4階を目指している。そして、階段を上りつつ、先ほどエミが言った言葉「恩恵が無くなった」を確認しようと、「
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八神 迅 26歳 男性 Lv:16
クラス:退魔剣士 ★★★☆☆
身体障壁:232/232
法力:193/193
穢れポイント:0
状態:普通
浄化ポイント:1420
能力ポイント:10
*******************
筋力 36(+2)
体力 34(+2)
敏捷 35(+2)
知力 33(+2)
霊力 45(+3)
神威 08
装備:
「8MGOODS」ジャケット・スラックス・ワイシャツ
須波羽奔・形代(攻撃力+50、対霊+50)
アームプロテクトホルダ
イヤーマウントアナライザ(EMA-VerⅡ.05)
ファントムタッチコントローラ(PTC-02)
田貫の脚絆(身体障壁+10、敏捷+1)
身体障壁 232(+40)
法力 193(+10)
クラススキル:
退魔剣士の心得★★★☆☆
退魔剣---*上位スキル「霊剣技」に統合
呪符術★★★☆☆
「破魔符」「鬼火符」「氷霊符」
単結界★★★
「
使鬼召喚★★★★☆
「蛍火」「神鳥」「小鬼」「エミ」
小者の心得★★★
陰陽学生の心得★★★
スキル:
鬼眼★★☆☆☆
霊剣技★☆☆☆☆
神人☆☆☆☆☆
*******************
確認した結果、まず以前と大きく異なっているのが、各能力値に加算されていた補正値だ。以前は例えば霊力など(+13)と表記されていたが、今は(+3)となっている。この(+3)は「退魔剣士」のクラスによる補正だから、それを除く(+10)分が補正値から消えてしまった。
しかし、補正値を合計した後の値は変わらずに「45」と高いまま。つまり、補正値から消えた(+10)が、俺本体(?)の能力値に取り込まれた、と言ったところだろう。
「神威」を除く5つの項目で、すべて同じような結果になっている。
これが「甘露」の効果なのだろう。
ちなみに、変化は他にもあって、エミが予告したように「*
それに習熟度が「無し」ながら「神人」(かみびと、かむと?)というスキルが霊剣技の下に出現していた。
後は
(……穢れポイントがゼロって事は無いと思うけど……これも甘露を呑んだからかな? お、使鬼召喚に「エミ」って出てるな)
と言ったところ。それ以外にもスキルの習熟度が少し上がっていたりする。
「迅さん、どうしたの?」
とここで、不機嫌モード(?)から回復した彩音が声を掛けてきたので、
「ちょっとアプリのステータス画面を見てた。そうだ、彩音もちょっと確認してみて」
と返す。その結果、
「え?」
朱音はスマホの画面を覗いて驚いた声を上げると、次いで画面を俺へ見せてきた。
*******************
桧葉埼彩音 18歳 女性 Lv:14
クラス:巫女★★★☆☆☆☆
身体障壁:188/188
法力:161/161
穢れポイント:0
状態:軽い高揚
浄化ポイント:1641
能力ポイント:50
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筋力 27(+2)
体力 27(+2)
敏捷 29(+2)
知力 31(+2)
霊力 41(+3)
神威 31(+4)
装備:
「扇谷高校制服」「8MGOODS」スニーカー
無垢の千早(身体障壁+30)
桃の六尺棒(攻撃力+12、対霊+10)
身体障壁:188(+30)
法力 :161(+10)
クラススキル:
巫女の心得★★★☆☆☆
祝詞 ★☆☆
岩長比売の慈愛
神楽 ★★★☆☆☆
「穂踏乃舞」「御垂水乃舞」「修祓乃舞」「唐獅子乃舞」「宇受賣乃舞」
女武芸 ★★★☆☆
スキル:
鼓舞★★★☆ 疲労耐性★★★☆☆
神女☆☆☆☆☆
******************
朱音も補正値じゃない方の能力値が、神威を除いて軒並み10ポイント上昇していた。それに、身体障壁や法力の数値もレベルアップとは別の上昇を見せている。そして、
(神女っていうスキルが出ているな)
俺の「神人」と対応するように、彩音の一般スキル欄には「神女」のスキルがあった。スキルの中身はちょっと良く分からない(長押ししても説明文が出てこないのは「神人」も同じ)が、これらの変化は全て「甘露」を口にした結果なのだろう。
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