第4話 菫先輩がいる日常

 変身部にはもう一人先輩がいる。

 茜さんと葵先輩は高等部二年。

 まだ、高等部の三年生は引退しておらず現役でいる。

 たまに部室にやってくる。



 ガラガラガラ。


 受験勉強との兼ね合いで、出席率は低かったりする。

 清楚な立ち姿。

 葵先輩よりも大人っぽい。

 というよりも、何やらセクシーな服装で。

 バニーガールというやつですね。

 耳はついてないけど、セクシーなガーターベルトを履いて。

 胸を強調したようなテカテカ素材の衣装。


 その上に、スカートを履いて、薄いカーディガンを羽織っている。

 なぜそんな衣装。


すみれお姉さま」

すみれの姉御」


 頬を赤くしてすみれ先輩にくぎ付けになっている。

 すごくセクシーですけれども。

 なぜバニー。


「もうすぐ、文化祭が近いじゃない? 変身部も出し物をするでしょ? 出し物は毎年恒例のメイド喫茶がいいかなって」


 それで、この衣装。


「言ってることとやってることがちぐはぐです。菫先輩。メイドじゃないですよ?」


 私の発言に、菫先輩は不服そうな顔をした。

 そのあと、そこから引き締まった顔になった。

「茜さん、葵さん、教えてあげてください。これが伝統的なコスチュームですよと」



 なんだか、助さん角さんみたいな。

 二人の先輩は椅子から立ち上がり、先輩の横に立った。

 ひかえおろうーって何か見せられそう。



 ぼわん。

 ぼわん。


 二人の先輩もバニーガール衣装に変身した。

「さあ! よく見なさい! そして茅さんも変身しなさい!」


 何だろう、セクシーを強要されている。

 世が世なら、セクハラですね。

 セクシーハラスメント。


「毎年ね、先輩たちが変身した姿を隅から隅まで見て、細かなところまで再現するの。そういう訓練にもなるから、頑張ってみてね」


 片足に体重を預けて、もう一方の足は少し後ろに下げ。

 前にある方の足へと手を置く。


 そうすることで、少し前かがみになって。

 バニーガール衣装の胸元が強調されている。



「どう!」


 菫先輩は、他の先輩とは違ったタイプの変態ですね。

 私は、ノーマル、私は、ノーマル。



「先輩さすがっす」

「セクシーですわ」


 そう言って胸元をありがたそうにじろじろと見つめる二人のバニー。


 ……わ、私だって、菫先輩に憧れはあるんですよ。

 ……素直になればいいのかな。


 そろーっと二人の先輩の間に入って、真正面から眺めさせてもらう。


 なんでしょう。

 幸せを感じてしまう私は、何でしょう。


 この光沢感。

 そこから、目線を下に下げていくと、むちむち具合の良い太ももが網タイツにムチムチと締められて。



「触ってみてもいいですよ?」


 茜さんと葵さんは爛々と輝かせた目を二人で見合わせた。

 そして二人一緒に頷いた。


「じゃあ」

「お言葉に甘えさせて」

「「もらいます!」」



 遠慮なく胸元をがっつり揉んでる。

 菫先輩も嬉しそうに体をくねらせている。

 変態が三人戯れています。


 正直、羨ましい……。


「ええーっと。じゃあ、私もお言葉に甘えさせてもらって……」


 私も一緒になって菫先輩を触り始める。

 茜さんと葵先輩は横に回り込んで足の方も触っている。


 この部活を選んでよかった。……かも。

 と思ってしまった。


「あはは。衣装だけだよ。どこ触って、いやどこを揉んでるんだよ!」



 セクシーな先輩がいる変身部は、今日も平和です。

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