第3話 葵先輩がいる日常

 今日は、葵先輩と二人きり。

 葵先輩は、黙っているととても美人。

 髪は長くて、清楚な感じで。

 背も高いし、女の子からもモテモテなんだろうなーって思う。

 綺麗な顔立ちで


 目があうと、微笑みかけてくれる。


「どうしたの?」

「いえ、先輩の顔、綺麗だなーって思って


「そう」


 そっけないところも素敵だったりする。

 また、また本を読みだした。

 そんな先輩に片手間で話されるのが好きだったりする。

 そんなに夢中になって何を読んでるんだろう。



「先輩、何を読んでいるんですか?」

「資料だよ。一緒に見る?」


「はい!」



 葵先輩の手には、モザイクが必要な同人誌が開かれていました。

 それも、どぎついやつ。


「どぎつっ!」


 微笑む葵先輩。

「ちょっと変身してみてよ?」


 こういう時の葵先輩は、止められないんだよね。


「絶対嫌ですけど、ちなみにどっちにですか?」

「私、女の子の方が好きだからさ、こっち」


 先輩が見ていたのは、どちらも性別は女の子が絡んでいまして。

 女の子か女性かという二択でした。


 女の子の方は、どことなく茜さんに似ているような。

「先輩の趣味って茜さんに似てますね」


 そう言うと、ちょっと赤くなった。

「そ、そんなことあるわけないでしょ」


 葵先輩、可愛いな。

「茜はもっと可愛いんだよ!」


 うんうん。うん?


「茅さんも、ストライクゾーンですよ!」


 うん。どうしよう。

 これは、一旦茜さんに変身してやりすごそう。



 ぼわん。


「茜です」

 葵先輩は微笑んでくれた。

 その笑顔のまま少し顔を傾げた。



「少しディテールが違いましてよ。こうです」



 ぼわん。


 葵先輩も茜さんに変身した。

 可愛い。


 いや、茜先輩よりも可愛い過ぎるかも?



「葵先輩の中で、茜さんを美化しちゃってません?」

「ふふふ。茜可愛いでしょ。これは少し昔の茜だよ」


 なるほど。


「ちゃーんと、色んな所を正確に再現しているのよ。涙ぼくろの位置だって、右目のここ」

「本当だ」


「ほくろっていえば、ここにもあるんですよ」

 スカートをたくし上げて、太ももを見せてきた。


「ここ」


 茜先輩からは見られないようなセクシーさが出ている。

 これは、私でも、魅力的だって思う。

 いかんいかん。

 何を考えているのだ私は。じろじろと見てしまう。

 あー。良い太ももだー。



 ガラガラガラ。



「おいっすー!今日も変身日和だ、な? あれ、私が二人いる」


 二人の茜先輩が、茜先輩を見ている構図になった。


 葵先輩はスカートを一旦戻して、茜先輩の方へ駆け寄っていった。

 そして、茜先輩のスカートを上げて、自身のスカートも上げた。


「ほら? あるでしょ?」

「は、ふざけんな。ばか!」


 二人の茜さんの太もも。

 眼福です。


「おい、今見たこと忘れろー!」

 本物の茜先輩が私に詰め寄ってくる。


 眼福、結構なインパクトでした。

 流石にこれは忘れなきゃいけないか。



「まぁまぁ」

 葵先輩は、私と詰め寄ってきた茜先輩の間に入り込んできた。


 止めてくれるかと思ったら、特に何も言わずに間にいるだけで。

 二人の茜さんに挟まれた、葵先輩。

 何か幸せそうな顔をしています。



「もっともっと茜で挟んでー」


 今日も変身部は平和です。

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