第2話 茜先輩がいる日常
今日の部室は、誰も変身していない。
茜先輩と二人きりの部室。
茜先輩は、背が低め。
私より低い。
150cm無いくらい。
今日は何やら資料本を見ている。
部室には、変身するためのイマジネーションを付けるために図鑑がいっぱいあったりする。
茜先輩の意外と勉強熱心なところ、尊敬していたりする。
真面目な顔で本を見ていたので、聞いてみた。
「茜先輩、次の大会の変身は何にするんですか?」
「私ね、胸の大きい人にあこがれているの」
「え、あ、はい……」
何を見ているかと思えば、グラビア写真集だった。
どこぞの中高生じゃあるまいし。
部活中にそんな本を。
「人体の不思議だよね。なんでこんなところにこんなものがあるんだろうね」
茜先輩は、ぺったんこな胸をさすりながら写真集をまじまじと見ている。
これは、かける言葉が無いな。
「茅のおっぱい見せて。」
「先輩、バカですか」
「いやいや真面目な話。肝心な部分は18歳にならないと見られないんだよ」
目が本気です。先輩。
変身魔法を使ってないのに、何やら目があの突起になってます。
目がお金になる漫画みたいです。
こちらを向いて席を立ちあがった。
いや、その手つきはなんですか。
空気を、揉んで。揉んで。揉んで。
見せるというより、揉んでますよ。
発情しちゃってますよ。
これはまずいまずい。
……って、ドアと反対側に逃げてきちゃった。
追い詰められてます。私。
何か変身でもして、先輩の気を紛らわせないと。
茜先輩の天敵、葵先輩に変身しよう。
ぼわん。
スラッと長い脚。
夏でも長いスカートを履いてる。
おしとやかに、両手をまっすぐ伸ばして、股のあたりで交差させる。
「おお、葵だ。変身のディテールが細かい」
茜先輩は、少したじろいだ。
目の突起も元に戻った。
よしよし。
茜先輩と葵先輩は、小等部からの知り合いって言ってたし、これでムラムラした気分も納まるでしょ。
「そういえば、葵のおっぱいってどうなってるんだ?」
宙を向いて悩む茜先輩。
どうなってるも何も。どうなってるんだろう?
私の想像で変身してみたものの。
茜先輩は、何かをひらめいたように納得した顔をした。
「どっちにしても、見てみれば解決だな!」
まじですか。
状況変わらないじゃないですか。
……ああ、助けて、葵先輩。
ガラガラガラ。
「おはようございます」
部室のドアが開くと、葵先輩がいた。
律儀にドアの外で挨拶してる。
お辞儀をしてから入ってくるのが常。
「おう! 葵おはよう。いま葵のおっぱいを見ようとしててな」
流石の葵先輩も一瞬固まった。
そのあと、ゆっくりとと表情が変わっていった。
大福を二つに分ける時みたいに。横に伸びた笑顔になった。
にやけ顔というやつだ。
「あら、茅さん。私のおっぱいをどう想像しているのかしら? 興味ありますね」
ああ。ここの部室には変態さんしかいませんでした。そうでした。
にやけ顔と、興奮した顔が一つずつ。
私に迫ってくる。
そんな先輩がいる変身部は今日は平和じゃありません。
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