第15話 急接近

【いらっしゃいませー、お二人様、お好きな席に】


帰りに立ち寄った喫茶店。お腹空いてきた。


 目処が立ったけど、当分はここに出向だろうな。

そんなに遠くはないが、りなとも離れ離れだし…


【はると、りなのことは私が見てるから安心して】  


【もう心配してないよ。あいつ、そんなに悪いやつでなく、ほんとうにりなのこと好きなだけだったかも】


【部長も見てるし、部長ああ見えて合気道の師範だから】


【へー、見かけによらないね。物腰の柔らかい柔らかいし、細身だし、意外だった】


【だから、安心してここで。もう暫く頑張れる?】


【もちろんだよ。明日からはリ少しリラックスしてみる】


………………………………………………………

きたきた、美味そう!


【おまたせしました、ご注文の生姜焼き定食です】


【みさもお腹空いてたの?】


【昼食べてないからね】


 暫く二人共沈黙してモグモグ、みさのほっぺにご飯粒が、気づかないでモグモグ…後で教えよう…

モグモグ…………………………………………


ふっー、二人して一気に食べきった。


【こちら、定食のデザートとアイスコーヒーです】


 お腹いっぱい、至福の、このあとに飲むアイスコーヒーをごくごく…これが最高。


 そうだ、教えないと…可愛い…何か子供っぽい、みさ。勿体ないけどさ。


【みさ、ここ、ついてる】


【えっ!どこ?】


俺は自分の右のほっぺに指であてて、


【ここに、ご飯粒が、ついてるよ】


【えっ。やだ、もう、ここ?】


 取りづらいのかな?確かに少し耳よりだが…でもなんでそこまで飛ばしたんだ?


【ちょっと待って】


 俺がみさの横に座り、ほっぺを覗き込むように、

ご飯粒をそっと…よく考えたらこれ、キスする前のポジション…ヤバい、緊張してきた。


【はい、取れたよ】


【…ありがとう】


 照れてるみさが、可愛くて、可愛くて、つい、

取ったご飯粒をぱくっと、食べちゃった…


【ちょっと、ちょっと!何してるの?】


【勿体ないかなーと、みさのほっぺについてたし】


【どういうこと?もう〜恥ずかしいよ…】


 うん。やっぱとても可愛い!りなとは違う、落ち着いてるけどドジな面もあるって可愛さだね。


 抑えなくてはならない、自分の気持ち…もちろん、りなのことは大好きだ…幼なじみで…


 みさは?何か惹き付けられるような魅力がある。

駄目、駄目、ここまでだな。俺は席に戻り、


【みさって、意外な一面持ってるよね】


【ドジなとこ?】


【うん、可愛い!そういうとこ】


 あっと、ヤバ、ストレートに言ってしまった。何の駆け引きもなくストレート過ぎた。


【ありがとう、はると。恥ずかしいけど。その理由がご飯粒ってのが、はるとってストレートに言えるんだね、可愛いとかさ】


 あれ、何か気まずくなってきたぞー、沈黙辛い。みさ、なんか話してくれ〜


【…はると、さきさんの職場ってどう?】


【訳わからないことばかり…未来とか…環境保全とかなのかな?】


【前に聞いたけど、特別なエリアあって、限られた人しか入れないらしいよ】


【そう言えば、るいって人がさきさんと言い合いになって未来に行けとか…訳解んないよね】


【何回面白そうだね…気になるね】


【今度聞いてみるよ、解ったら教える】


【はると、早く戻ってきてね】


ドキッ!な、なぜ、そんなこと?


【りなが寂しがってるからさ】


なんだ、そうか。りな…が、ね。


【私も寂しいけど…なーんてね】







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