第4話 軽佻浮薄
「え?」
最初にそう反応したのは中島さんだった。
「そうなの?私の棚は普通に開いたけど」
「わ、わたしもですよぉ」
「なに!?そうなのか!なら鍵がかかっていたのは僕だけなのかな!」
「いや、俺もだ」
「帝威さまもですか?わたくしもですわよ」
「私もです!」
「俺もやで」
「僕もそうだから、このなかで鍵がかかってなかった人は、雪宮ちゃんと、中島ちゃんと、海琳ちゃんってことだね!」
「中には何が入っていたの?」
「え、えぇと中にはですね...」
「ちょっと待て」
「な、なんですかぁ?帝威さん」
「話して大丈夫なのか?」
「へ?私は大丈夫ですけど...」
「お前の心配をしているのではない!ルールの話だ」
「ルールやて?」
花道さんと海琳さんはルールブックを確認し始めた。
「あぁ、7番の事か」
「【また、原則自分に与えられた特権やアイテムが第三者に把握されると、それは使えなくなる。】のことですね。すっかりわすれてましたぁ」
「そういうことだ、共有するにしても、やりかたを考えねばならん」
「ありがとうございます、帝威さん。」
「貴様の為ではない」
「じゃあ私のについてじゃなく、中に入っている物自体の説明をするわね」
「あの棚の一番下には、ルールブックにもある通り、【特権、アイテム、情報】のいずれか、または複数がおかれています。」
「特権の例として、食事係の説明をさせていただきます。食事係は、談話室にある赤い扉を開けることができます。扉の中には食材や調理器具が起これており、それを自由に使うことができます。また、
食事係はルールの七番が適用されない...らしいわよ」
中島さんはすらすらとルールブックを見ながら説明した。
「おい、どういうことや?なんで中島さんはそんな詳しく知ってんねん。ルールブックに書いてたか?」
「あら、ごめんなさい。」
中島さんは毅然として態度で謝り、言葉をつづけた。
「みんなのルールブックにには書いていないと思うわ、これが、私に与えられた【情報】なの」
事態を把握した面々は、中島さんの次の言葉を待った。
「...つづけるわね。」
「ちなみに、この情報は、みんなに共有することが義務付けられていたわ。ゲームの進行に関わるとかなんとかでね。」
「私の情報は以上よ海琳さんと雪宮さんも何か共有できることは...」
「ねぇ、それって本当?」
中島さんの言葉を遮って、天王野君がそういった。
「本当に共有しなきゃダメな情報はそんだけ?」
「おかしなことを聞くわね」
「なーんか嘘くさくてさ、中島ちゃんの言葉」
「いいの?共有が義務つけられているっていうなら、下手に隠すとペナルティがあるかもよ?」
「・・・わかったわよ、話すわ。まったく、怖い子ね」
「よかったよかった。で、何を隠してたの?」
「私が隠してたのは...私たち、最初から特権やアイテムが解放されてた人以外の人たちの、棚の特権の解放条件よ」
解放条件?なぜそんなことを隠そうとしていたのかを訊ねようとしたが、訊ねるまでもなく中島さんは語り始めた。
「私たち以外の棚が解放される条件、それは...」
「殺人が行われることよ」
その言葉で、空気が凍り付いた。
「人が一人死ぬごとに、誰かのがランダムに解放されていくらしいわ」
「なるほど...隠した理由もわかる内容だな」
「えぇ帝威さん。万が一、これを理由に殺しが起きてしまったら、と思うとなかなか言い出せなかったのよ」
「その心配はいらないんじゃない?殺しを行った犯人はバレなければここから解放されるらしいしさ。人を殺してまで外に出ようと思ってる人がそんなの気にしないでしょ。」
「それもそうかしら。」
天王野君の発言に中島さんが同意した。
「さてと、ほかに気になるとこは...」
「あ、それならわたくしから提案がありますわ。」
「お、どうしたのバーガンディちゃん」
「なんか馴れ馴れしいですわね...まぁいいですわ。わたくしは...」
キーンコーンカーンコーン
バーガンディさんの話を、学校のチャイムのような音が遮った。
「なんだ、この音は」
帝威さんの質問に応えるように談話室の壁にあった壁掛けテレビが明るく光った。
「午後11時となりました。5分後に消灯となり、部屋のドアをロックします。詳しくは、ルールブックをご確認ください」
不気味な機械音声がそう私たちに告げた
『!』
「消灯...!?それに部屋のドアがロックされるって?」
「そんなの聞いてないぞ」
「みんな!ルールブックを見てみて!」
爽谷華さんの指示で私は手元のルールブックに視線を落とした。
するとそこには【殺し合い共同生活のルール】というボタンの横に、【共同生活のルール】というボタンが追加されていた。
「今はとりあえず部屋にもどりましょう。また明日話し合いましょう。」
中島さんの言葉に皆同意し、円卓を後にした。
「じゃ、また明日ね」
天王野君の声を聴きながら、私たちは部屋に入っていった。
そしてもう一度机と棚を軽く調べた後、私はベッドによこになると。すぐに眠りに落ちた。
「あーっははははは!」
「だめだよ...みんな甘すぎる。」
「雪宮ちゃんも、中島ちゃんも、葵ちゃんも。みーんな俺の嘘に気づいていないな。」
「帝威ちゃんには少し怪しまれてるかなー。ま、何もしてこないと思うけど。」
「俺は俺で、、、やりたいようにやるさ」
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