第3話 呉牛喘月

私は【ルールブック】と書いてある電子機器と【殺し合い共同生活】についての紙を手に部屋を出た。

円卓へ向かうと


「あ、雪宮ちゃん!遅かったね。どう?面白いものは見つけられた?」


天王野君の無邪気な声が耳に入り、少し腹が立った。

もう全員集まっている。私が最後のようだ。


「全然面白くはないけど、こんなふざけたものが机にあったよ。」


投げ捨てるようにいうと、私は円卓の上に例の紙を置いた。


「やっぱ雪宮ちゃんの部屋にもあったんだ。じゃ議論をはじめようか!」


天王野君が元気にそういって皆を見渡した。


「どうしたの?議論しようよ」


「まだ現実を受け入れられていないのだろう。理解力に乏しい連中だ。」


帝威さんが貶すようにそういったが、みんな反応はしなかった。


「信用していいのかしら、これに書いてあることは」


「信じる...しかないんじゃないですかぁ?」

「ここに書いてあることと、私たちの現状は概ね一致しいるわけですしぃ」


「じゃ、この【殺したら解放される】ってやつもまじなんですの!?」


バーガンディさんのその言葉に、天王野君と帝威さん以外口を噤んだ。


「うーん、そこは多分話し合っても無駄なとこだとおもうし、まずはこの紙の内容の矛盾点について考えようよ。」


「【貴方様と同じ状況の男女が8人...】の部分やね」


「うん!そうだよ。みんなも気づいてた?」


「何が矛盾点なんだい!?」


「声でか...まじで気づいてないの?鷹丸ちゃんは。」

「ここにいるのは自分を含めて10人。でもここに書いてあるのは8、つまり読み手を含めて9人になるんだよ。一人足りない。」


「うむ。なるほどな!」


「ま、まぁそういうことやね。ほんで、これについて意見もっとるやつおる?」


『...』


「誰もおらんみたいやから俺の意見を言うわ。」

「俺はこの中に首謀者がおるんやないかと思とるで」


『!!』


「ちょっと、本気でいってるの?」


「そんな怖い顔せんとってや中島さん。俺はただ可能性の話をしてるだけやで」


「まぁその可能性は否定できないけど、そうだとしたら分かりやすすぎませんか?」


「どゆことや?爽谷華君」


「いくらなんでも分かりやすすぎるってことですよ!もし首謀者がこの中にいたとしても、どうしてわざわざ私たちに教えるようなメッセージを残したのかってことです!」


「それは...バレることで黒幕に何かメリットがあるんやないか?」

「例えば、俺たちが疑心暗鬼になる。とかな」


「それはありそうですわね、首謀者の目的が私たちに殺し合いをさせることならそっちの方が都合がいいですものね」


『・・・』


誰もそれ以上話さなかった。

考えが浮かばなかった。


「もう新たな意見はないようだな!」


鷹丸さんが口火を切った。


「それでは次の疑問点をあげさせてもらおう!」

「ルールブック6番と8番のことについてだ!」


「それはどうしたんや?」


「うむ!これを読んで僕は棚を調べたのだが」

「一番下の段だけは鍵がかかっていて開けられなかったのだ!」


その言葉に、私と中島さん、遅れて海琳さんが反応した。

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