第2話 春風駘蕩
「自分の部屋?」
天王野君のといかけに、中島さんが反射のように答えた。
「うん、みんな鍵を見つけてすぐに外に出てきたんじゃない?ちゃんと中を調べた?」
「そ、そういわれれば確かに、ちゃんと調べられてないですぅ」
「でしょ?だから、もう一回各自で調べてほしいんだよねー。」
「面白いものが見つかるかもしれないし。」
トーンを下げてそういった彼の言葉には、やや確信めいたものを感じた。
「りょーかい、自分の部屋を調べればええんやな?あ、でも俺自分の部屋がどれか忘れてしもたかも」
「大丈夫よ。部屋の扉に、持ち主の名前が書いてあったから。」
中島さんがそう補足する。
各々部屋の前に立ち、ドアを開けた。
「じゃ、調べ終わったらまたあの円卓に集合ねー」
天王野君はそういって部屋に入っていった。
「よし、私もいくか」
部屋に入り、もう一度中を見渡した。
洋風のベッド、机、椅子、棚、総合すると中世ヨーロッパのようなおしゃれさが漂う部屋。
最初に感じた印象とさほど変わらなかった。
探索をはじめよう。
ベッドに不審な点はないな、柔らかいし、いい匂いもする。
ここで寝る分には不満はない。
椅子も洋風デザインというだけで特に変わったところはない。
となると、やっぱりこの棚と机だろうか。
私は棚の一番上の段を開けた。何も入っていなかった。
次に真ん中の段。何も入っていない。
最後に一番下の段。
「なにこれ」
そこには封筒が入っていた。
封をあけ、中身を見ると、紙と小さな機械のようなものが入っていた。
とりあえず紙を取り出した。何か書いている。
盗聴器の使い方 【アイテム】
大きい方の機械が受信機だよ!
小さい方が発信機!
受信機はリモコンの役割も兼ねているよ!
受信機についている赤いボタンを押すと発信機が起動するよ!
発信機には音を発信する以外の機能は備わっていないよ!
受信機は青いボタンを押すことで受信した音を録音できるよ!
録音できる音は15秒、録音しておける数は1つだよ!
それじゃ、このアイテムを使って殺し合いを有利に進めよう!
なんだこれは。
私とは裏腹に高いテンションで書かれている『それ』に書かれている内容を、私は一瞬理解できなかった。
殺し合い?盗聴器?何を言っているんだ。
馬鹿馬鹿しい。そうおもい部屋の探索を続けることにした。
「あとは机だけか」
椅子に座り、机を調べることにした。
うん、それなりに広いし質感の良い机だ、使うことがあるのかはわからないけれど。
私は机の隅に紙がおいてあることに気づいた。
嫌な予感がしたが、見ないわけにもいかず、それを手に取った。
「殺し合い...共同生活...?」
私は思わず書いてある内容を読み上げた。
その文字の下には、さらに文章が続いていた。
「突然のことで混乱していると思いますが、まずは皆さんにこれから行ってもらうことの説明をします。皆さん、あぁご存じないかもしれませんが。この部屋の外には、貴方様と同じ状況の男女8人がいらっしゃいます。貴方様には、その方たちと殺し合いをしてもらいます。殺し合いといっても、なにもサバイバルゲームのような殺し合いではありません。ご安心を。まず第一に、ここは地下深くにある地下住居です。皆様には二つの選択肢があり、一つはこの地下空間で一生を過ごすこと。もう一つは、誰かを殺しここから解放されることでございます。詳しくは、この紙がおかれている机の引き出しにかかれていますので、ご確認ください。」
私はそこに書いてある内容が信じられず、信じたくなくて、何度も読み直した。
だがそれが現実であることを認識し、倒れそうになる体を疑問への好奇心と自分がこれからどうなるのかという恐怖で支えた。
「落ち着いて...まずは引き出しを確認しよう」
引き出しをあけると、中にはスマホより少し小さな電子機器が入っていた。
それをタップすると、黒い液晶が光り、【殺し合い共同生活のルール】という文字が浮かび上がった。
1 一人につき殺せるのは一人まで
2 殺しの発覚後一定時間捜査を行う
3 捜査終了後、談話室にある円卓で会議をおこない犯人を一人指名する
4 指名された犯人が正解なら犯人は処刑され、殺し合いは続く。
5 指名された犯人が間違いなら、犯人は解放され、犯人以外の人は全員処刑される。
6 棚の一番下にある【特権、アイテム】はその部屋の所有者以外使用できない
7 また、原則自分に与えられた特権やアイテムが第三者に把握されると、それは使えなくなる。
8 ただし、【情報】においてはこの限りではない。
9 ルールが破られた場合、破った人は処刑される
10 coming soon
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