第1話 自己紹介
六畳ほどの広さの部屋には窓の類が一切なく、代わりに一つのドアがあった。
あけようとドアノブを回したがガチャガチャと音が鳴るだけだった。
どうやら鍵がかかっているようだ。
「そうだ、スマホ。。。」
そう思い持ち物を確認したが、意識が途切れる前に持っていたものはすべてなくなっていた。
「ん?」
ポケットに違和感を覚え手を入れると、金属のような手触りを感じた。
それを手に取り確認する。
鍵だった。
試しに目の前のドアノブの鍵穴に差し込んでみると、きれいにはまった。
そのまま鍵を回し、ドアを開けた。
そして部屋の外に出るとそこには。
8人の人がいた。
「これで最後か?」
一人の男がそういった。その言葉を聞いてあたりを見渡すと、広い談話室のような部屋の壁には、私が今出てきたドアを含めて10個のドアがあった。
謎の男に襲われ知らない場所で目を覚ます。
あまりの突然な出来事に、私は一周回って冷静さを得ていた。
「そうみたいね」
赤い服を着た女性がそう応えた。年は三十代くらいだろうか。
「あの、どういうことですか?ここはどこなんですか?」
私はその場にいる人に問いかけた。
「全員フードの男に襲われ目が覚めたらここに...というわけだ」
「皆さんも!?」
「その反応をみるに、本当に全員同じ状況なわけのようだな」
その言葉に絶望しながらも、私は思考を巡らせた。
「ねぇ。とりあえずさ、座って話さない?ほら、そこにでっかい円卓もあるしさ。俺、立ち話嫌いなんだよねー」
その声の主を見る。身長は165cm位の男、それと若く見える、10代くらいじゃないか?
「とりあえずそうしましょうか」
赤い服を着た女性がそういい、男の子についていった。
ほかの人たちもそれに続いたので、私も円卓に座った。
「さてと、まずは自己紹介からかな?」
男の子がそういって自己紹介を始めた。
「俺の名前は天王野幸一郎(あまおうのこういちろう)、16歳だよ。趣味はゲームよろしくね」
「じゃ、右回りに進めようか、次、お姉さんね」
そのまま天王野君が仕切る。
「え、わ、私ですかぁ?」
「わ、わたしはぁ、えぇ、えと21歳で、あの、海琳 燐(みたまりん)といいますぅ。趣味は...お、お手伝いです。よ、よろしくお願いしまぁす。」
自信なさげなしゃべり方をしているが、声はとても透き通った声をしている。
「あぁ、次は俺か」
「俺の名前は熱野 鷹丸(ねつのたかまる)ってんだ!趣味はスポーツ全般!よろしくな!」
先ほどの海琳さんとは対照的に、自信に満ち溢れた声をしている。
「ふん...帝威 猛虎(ていもうこ)、25だ」
「え、そんだけ!?」
数秒帝威さんの言葉を待ってから、天王野君が驚いたを反応した。
「それ以上いってやる必要もなかろう。別に俺たちは仲間というわけではないのだからな。」
感じの悪い態度だが、どこか風格がある。オーラというのだろうか。
「ま、まぁいいけど...次は私の番だね。私の名前は爽谷華 沙也加(さわやかさやか)。年は20歳。趣味は読書と勉強。よろしくね!」
名前通りさわやかな印象の人だな。それにしてもすごい名前だ。
「俺は花道葵(はなみちあおい)19や、趣味は特にないで」
少しぎこちない関西弁を喋るその男は、黒髪できれいな顔立ちをしている。
「次は私かしら。私の名前は中島あかね、32歳、専業主婦よ。」
気品のある女性という印象を受けた。このなかでは比較的高齢だろうか。
「わたくしの名前はアルカナ・レクリック・バーガンディ。年齢はトゥエェンティなワンですわ~!趣味は将来てきにお裁縫に料理に家事育児になる予定ですわ!」
「予定って...それ理想じゃないの?」
めちゃくちゃなしゃべり方をしているが、感じる印象は高貴の一言だ。
服装や立ち振る舞いから育ちの良さがにじみ出ている。
あぁ、それより次は私の番だ。
「え、えぇとバーガンディさんのあとだとやりづらいんだけど。私の名前は雪宮美里。18歳で、趣味は友達と遊ぶことだよ」
うん、それなりに自然な自己紹介だったんじゃないか。
「これで全員自己紹介は終わったね。じゃ早速ききたいことがあるんだけど、」
「みんな、自分の部屋ってちゃんと調べた?」
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