第18話 女の友情!!!!

観覧車での話

動くゴンドラの中


「それは海斗は友達だと思ってなくてもかい?」


その言葉は祈織の少しの抵抗だったのかも知れない。彼女には彼が見せない顔がある。そして誰よりも近くにいた祈織は沙耶との距離の近さを感じていた。その距離感に若干の焦りを持って。


「…そうですね、私と彼はあくまで教師と生徒そして、藤浪くんが友人と思っていないのは少しショックです。でも、貴女にそれを聞いても納得はできません。」



そんな少し怒っているように普段あまり祈織には見せず、海斗との会話でよく見る感情を見せた。


「私は彼に告白するなら好きにすればいいと思っています。ですが、あなたの今の行動はその、私と彼の関係を警戒してるのですか?」


「ふぇ!?」


沙耶も言っているうちに段々と顔が赤くなる。そして、その話を聞き沙耶より顔が赤くなり、挙動不審に腕をぶんぶんと振る。ここがゴンドラ故に、少しでも動けば周りから見ても怪しいくらいゴンドラも動く。


「いえ、その、渡したくないから私にその、彼は私のものだとマーキングしてるのかなって」


口をパクパクさせて、沙耶の言葉を遮ることなく聞く、いや実際には聞こえてないし混乱してそれどころでは無いだけ。そして同時に思った。

(この子、絶対女友達いない)

と。こんな話をすれば、女同士、狙うなよと言った、暗黙の了解的なものがある。それを知らずにその事を直球で聞いてきた。無知!空気も読めない!天然!トリプルパンチに祈織は少しクラっとした。そして同時に気に入ったと思った。


「ふふふあはは」


「!????」


「あー、ごめんね面白くって」


「面白いって、私はこれでも真面目に」


「いや、だってそんな事直球で言ってくれるなんて思わないし、ふふ」


「?わかりませんけど。後で聞いてみようと思います。あ、無論告白の後でいいので」


それ、恋仲になったら普通に嫌でしょ考えてみて!と思っても多分この子は疑問に思うだけで

別に浮気じゃないしいいのでは?とか言いそうとやはり笑った。そんな事知りもせず沙耶は疑問を浮かべているとゴンドラが一周を果たし帰ってきた。二人は絶景を見ることなく終わった。






「それでなんだかんだでメアド交換したけど」


「いや、ちょっと待て、その状況からどうしてそうなった」


祈織のコミュニケーション能力の高さとさっきの状況から、どうしてそうなるという疑問から司の脳内はぐちゃぐちゃだった。


「なるほどなぁ確かにアイツ言ってないんだろうなそしてそれを叩きつけられて海斗自信とまどってんじゃね?知らんけど」


「他人事ね…そもそもなんであんたは海斗に興味持ったの…あれよ、拗らせコミュ障の」


「お前もボロクソに言うな…うーん…考えたこと無かったな…強いて言うなら……面白いから?」


「一年の最初の頃の荒んでたあいつを見てみれば今が楽しいなんて分かるしな」



それは授業中も、放課も海斗が勉強の虫だった時(今もだが)入学式の初めましての自己紹介で。自分の名前の後に俺の勉強の邪魔しないでくれと言い放ってから彼は避けられそれを海斗自身も何もないように勉強を続ける。

そんな中で一番最初に会話したのが司だった。

そこから海斗が司を拒絶するのが当たり前になっていった。




「はぁ、ま、そんなアンタらの馴れ初めどうでもいいは肝心なのは今の私がどうやって、海斗と付き合うか、恋人になるかよ」


「あれ?俺の回想興味なし!?ま、頑張れ」



意気込む祈織を前に司は自分の飲み物を飲み干して会計に向かった。

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