第17話友達のドリンクバーに嫌がらせするならお湯がいいよ

「え?返事求めてないの?」


「ええ。だって、ほぼ確実にフラれるでしょ、だから応えはまだいいって言ってある。友達とも思われてないし」


少し不貞腐れてるように頬を膨らまし頼んだ、プリンをがっついた。ファミレスに来て30分。

飯を食べ終え、少しゆっくりするにはちょうどいい時間。そして話し始めるのは告白の時。花火が始まり、集合場所も決まってない時、祈織は海斗に告白をした。これが最近募っていた想いのせいか、旅先マジックのせいかは自分でもよくわかっていないけれども。



「好きだよ」


「は?」


祈織の心情は凄かった。

(言っちゃったーーーーー)

これにつきる。心臓がうるさく、花火の音も、周囲の談笑も全てをかき消してくる。音のしないこの空間で祈織の視線は海斗にくぎ付けだった。海斗の口が動く。怖い。彼の次の言葉が怖かった。


「お、おい、俺はだな」


「うるさい!返事はまだ求めてない!そもそも、友達って思われてもないんだからまだ早いはだからまだ要らない」


「あ、おい」


「だから、おぼえてなさい!アンタが名前も忘れらないようになってやるんだから」


「お、おい」


「あ、皆からLINEだ!じゃあ行こっか!」


「有無を言わさない……」


ツッコミをもかき消す花火と周囲の声がようやく祈織の耳にも届いたのだった。





ファミレスでは罪を自白するように、自分の告白が卑怯だと分かっているようだった。


「それって、告白逃げじゃん」


「初めて聞く言葉使うな!」


顔を真っ赤にしているのは羞恥かそれとも怒りかどちらともとれる、祈織は司の服の襟を掴んで振っていた。脳内シェイクで気分が悪くなってギブと喚いても、手をトントンと叩いても一切容赦しなかった。少し時間が経ち祈織は落ち着いて手を離す吐き出すまでには至らずも出そうになったので水を飲んで中和し司は皮肉も込め話した。


「いや、逃げちゃってるよ応えを求めないって言って逃げちゃってるよ」


「う、るさい」


その言葉も何度目だろう今や効果もない。

次のジュースを持ってこようとコップ片手に席を立ち祈織の方を向きこれからどうするのかを聞いた。


「んで?どうするん?」


そんなあっけらかんとした司の態度を見て覚悟を決めたような顔で笑った。


「決まってるよ、最終的に彼女になる…それだけ」


そう言って飲み終えた自分のコップを司に突き出し新しいの取ってこいと言ってるようだった。


帰ってきた司が手に持つのはメロンソーダと烏龍茶…のような色をしたシュワシュワと炭酸はじける物…どうやらごちゃ混ぜにしたようだ。


「なんこれ、マズ」


「そりゃそうだろ、コーヒー、烏龍茶、コーラ、桃100%ジュース等などが入ってるからね」


そんな事をふふんと胸を突き出して謎にドヤ顔する司にボソッとガキめと言い、一気に飲み干して新しいのを取りに行った。帰ってきてコップに入っていたのはただの烏龍茶だった。


「なんだつまんね」


「……」


「怖いて奢るの俺だし少しの抵抗だこら」


そんな事をツラツラと言う司に半ば呆れてため息をついて、スマホを見だしたが、何かを思い出したように、スマホの電源を落とし、司にもう一つの言いたかったことを話した。


「そういえば沙耶さん、海斗が友達作らないって言ってること知らなかったんだけど」


「そういえば、アイツが、沙耶ちゃんの前で言ってるの聞いたことねぇな」


今までの記憶から、海斗が沙耶に対して言っていないことを思い出した。そしてその事に少し不満を持って司、祈織はドリンクをがぶ飲みした。


「んで?その話が何?」


「その、私知ってると思ってそのどう思ってるのか聞いちゃって、私も告白しよって思ってたからてっきり好きなんだと思ってて」

観覧車での話

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