第13話 女同士

怖かったとお化け屋敷を終えた連中は海斗、祈織を待つ間も無く、そのまま近くのお土産を見ていた。だが、少なくともクラスの連中より接点のある、二人。司、沙耶は二人を待っていた。


「お、帰って、き、た?」


「どうかしたの?藤浪くん、勉強してるけど」


「ん?あぁ、あいつが黙っちまって暇だから単語帳捲ってた。」


お化け屋敷を楽しむ気ゼロな海斗にあははと乾いた笑いをする二人に自分の行動は異端であると分かっている海斗は何も言わず、そのまま単語帳に目線を戻した。


「それで?お前らはなんでここにいるんだよ、あそこら辺のと一緒じゃねぇし」


頭をかいて少し恥ずかしそうにお前らを待ってたんだよという司はビビり散らしてバツが悪いのだろう。


「土産に興味もないしな」


「お前は?」


「渡す相手いないから」


よそよそしく、今までとは違う笑顔で海斗の問いに応える沙耶は鈍感といわれる海斗でも分かる程どこかおかしくそれは泣いているように見えた。海斗達も来たので最後に観覧車乗っとこという事でゾロゾロと集団で観覧車の方に向かう一行。その集団から十歩程後ろで司と祈織は話していた。


「司んが言ってたこと分かったよ」


「ん?」


つかさんそう呼ばれる時は基本的にふざけている時が多い、だが、つかさんと呼ぶ、沙耶はふざけるというより照れ隠しで顔を隠し、視線を向けようとせずまるで覚悟を決めたような笑みを海斗に向けていた。


「私海斗が好きかも」


「え!?まじで!?いや〜流石旅先マジック!」


ウンウンと頷く司に何それと半笑いで祈織は集団に追いつくために少し早く歩いた。




「さて、どうするよ」

観覧車前に着いてそうそう、誰と乗るかという話をしていた。結局ゾロゾロとペアを組んでいく中いつも通りというか空気を読んだようにいつもの四人が残った。


「結局か」


「そうね」


「あはは」


「はぁー。俺は勉強するぞ」


「ね、ねぇ、沙耶さん一緒に乗らない?」


「別にいいですよ?」


四人で乗る流れをぶった斬る祈織はそのまま沙耶の手を引っぱって、そのまま観覧車に乗り込んだ。海斗はポカンとした表情で司はニヤニヤしながらその光景を見て次のゴンドラに乗った。


「どうして?藤浪くん達と一緒じゃないのですか?別に一緒に乗りたい訳では無いですが」


「沙耶さんは、海斗のこと好き?」


「えっと、それはlike?Love?って意味?ですか?」


「Loveかどうかだよ?」


道化のように笑顔で沙耶の祈織は表情を伺った。景色は綺麗で夕陽も完璧に近いそんな絶景を前に沙耶は考え、沈黙した。


「like?じゃないですかね?そもそも私彼氏とか恋愛とかにも興味無いですし、友達も作る気があまりないというか」


「海斗みてぇ」


「友達だって、高校の頃の相手なんてほとんど会わないでしょうし恋愛なんて勉学から一番ほど遠い存在じゃない…興味が起きないですね」


自分の言いたいことを伝える確かに沙耶の言うことは事実だ、高校の友人なんて会う機会が減り、今の時代、恋愛なんてしなくてもそのトキメキじみたものを得る方法はある、アニメ、ゲーム、アイドル。そんな所まで海斗と同じ、沙耶に笑うしかないというように腹を抱える。


「じゃあ、海斗と私が付き合っても別にいいと?」


「別にいいんじゃありません?藤浪くんとの縁が切れることは無いでしょ?」


「……それは…海斗は友達だと思ってなくてもかい?」


まるで自分がそうだったと言わんばかりに少し思うところがあるのか、さっきまでの笑顔は消え、真顔で話した。それは少しの嫉妬があったのかもしれない。自分から振る気のなかった話題を出した。



「あいつら何話してんだろうな」


「知らん」


「こんな綺麗な光景をどうして一人で見なきゃならんもう一人は勉強してるし」


前半は叫んでいた司もだんだん高くなるにつれ言葉数が減っていき、あともう少しで終わりそうになってようやく喋りだした。


「お前ってビビりだよなというか、なんでここ誘ったんだよ、お前無理なくせに」


「別に無理じゃねぇってばよただ、ジェットコースターはいけるだろだって高くてもすぐ終わるし風気持ちいし」


勉強がちょうどいい所までやれたのか、単語帳をポケットにしまい、海斗は尋ねた。まだ少し怖いのか司の口から出る言葉は、早口だった。

だが、何か聞こうとしたのか雰囲気が少し変わったと海斗は感じた。


「お前はさ、沙耶さんとどういう仲なの?」


「ん?だから前にも言ったろ生徒と教師って」


「ホントにそれだけ?」


「……」


「お前は友達じゃないと沙耶さんに言えるか?今日のお前は楽しそうだったそれに祈織に対してだってそうだろ」


「…わからん」


「お前の答えを待ってる人がいるんだからな」


そう言い終え、海斗、司の二人は残りのゴンドラでの時間静寂のまま終わった。

観覧車を終え疲れてきたのかようやく静かになってきた集団はお土産を買いにバラけることになった。


「あれ?海斗おまえ買わないの?」


「七海から土産は話だけでいいって言われてるしな後は写真だけでいいだろ」


「お前写真撮ってたっけ?」


「……」


押し黙る海斗は一応スマホを確認すると写真フォルダには一枚も無く、フォルダには色んな教科の公式しかなかった。


「まぁ、今から撮ればいいだろ、ほら、今日季節早めの花火だってよ」



擁護する司は近くの看板からちょうどいい情報を見つけ、海斗の肩に手を回しながら言った。

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