第8話 グループワークは政治家もできないんだからやらすなよ

グループワーク。それはコミ障にとってキツイ以外の何物でもなかった。陰キャがいいことを言っても何を言っても聞かないくせに、陽キャが軽く言えばそれだけが答えだと言うように周囲が頷き納得する。そもそも、何であんな分かりきってる問題にディベートせにゃならんのだ。そんなの政治家のいい大人でさえもできとらんのだから俺らが出来るわけないだろ!


「急になんだよ、司。それに政治家云々なら来年選挙にでも行ってこいよ、まぁ、たかが一票で変わらないと思ってる奴ばかりで最近のやつは文句言うだけで自分は行かないキモイの塊だがな」


「やめて、政治家の文句一つ言っただけでどこでもかしこでも敵に回すようなこと言わないで!」


司と海斗の二人の話し合いは周りに聞こえるほどのものだったが聞こえてないようだった。現代社会の授業では最近の問題についての話し合い、という生徒の自主性(笑)を大切にしてディベートをやるらしい。ので、今は自習のようなものだった。いつも眠たげなあの教師らしいと言えばそうなのだろう担任……仕事しろよ。



「それで?どうするの?私達の班?」


このグループは海斗、司、沙耶、祈織の四人。前回グループ内でのディベートで海斗が何度も質問して相手を泣かしてしまい、それ以来ずっと司とセットにすることで緩和しようと考えたのだ。あさは、活気的な考えにより、司が海斗を付きまとう回数が増えたのだった。それにより変に絡んでくる奴はいなくなりクラスにとっても海斗にとってもwin-winの関係だった。…………グループでの発表内容は自由恋愛についてだった。ジェンダー問題等色々ある話題だ。


「俺は全くわからんからなお前ら頼んだぞ」


「まてまてまてまて、お前の意見も聞かせろよズバリお前は歳上派?歳下派?」


「この歳での恋愛には興味ない派だ」


何故か始まった恋愛話。恋愛初心者そもそも海斗は恋愛に興味無いとスルーするが、そんな簡単に司が諦める訳もなく周りも納得するつもりもないようだった。二人して海斗をじっと見つめた。そんな期待の目を無視し勉強を再会しようとしてもそれは無駄だった


「この歳でってことはいずれ興味あるんだろ?別にお前の趣味にどうこう言うつもりは無いから」


(コイツ!俺の邪魔ばっかしやがって)


「どうでもいい、恋愛なんて。大学に行けば出会いなんてどうとでもなるだろ」


「お、つまりお前は歳上好きなのね」


「聞けよ!人の話……もう誰でもいい」


投げやり、思考放棄。三人のため息が聞こえ、中々に居心地の悪い空気になる。いつもはそんな空気気にもとめないが、流石にこの三人からのこんな空気はさすがにこたえた。


「………髪の長い女性。真面目な人がいいそれ以外どうでもいい」


少し間が開き、海斗から告げられた言葉に沙耶達が驚いた顔をする。帰ってこないと思っていた反応が返ってきてしかも意外と具体的だ!


「な、なんだよ!お前らが聞いてきたんだろ!」


「……いや、驚いた、漫画だったら目玉飛び出てるは!」


「髪が長いね」


「真面目…」


沙耶は下を向き、祈織は髪の先端をいじる、そんな二人をニヤニヤと見やる、そしてさっきとはまた別の気まずい空気に囲まれ、海斗は疑問で勉強に逃げることしかできなかった。そしてグループワークが進まず終わり、結論、海斗はむっつりということだけが判明した。

ちなみにこのグループワークは海斗の知識と司の言葉の使い方により最終的に政治家の悪口を列ねて終わり、教師からの苦笑いを産んだ。クラスメイトも乾いた笑いを浮かべて頬をひきつらせた。そんな金曜の授業を終え、帰路に着いた。



ブーブーブーブー。

うるさい

ブーブーブーブー。

うるさい

ブーブーブーブー

寝られねぇ。

ベット近くのスマホを見る、そこには司からの着信と、七時と表記されていた。土曜日。朝早くに電話で起こされた。休日は基本こんな時間に起きない。理由は一つ休日前は寝る時間が四時とかだからだ、七海に寝ろと言われ渋々、二時に寝るはめになり勉強時間が削られた。あいつのせいで今日行かなならんのだが。

そう。今日は、沙耶の歓迎会ダルいが運動の日だ。

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