第7話 説教とモヤモヤ

「おい」


「ひゃい」


数分前。

学校でのいざこざを超え、20分。家に帰ればそこには怠惰で愚鈍な妹がいつも通りソファーで寝転がりながらポテチを食い散らかしていた。いつもなら、注意で終わらせていただろう。だが、今日は違う。海斗には、七海を強制する建前ができていた。ポテチを奪い、スマホも奪い、睨む七海をドスの効いた声と氷点下にも届きゆる目で、睨みつけた。そこから今に至る。床に正座させ七海のスマホのLINE画面を見せ、どういうことかの理由を聞いていた。


「こ、これはですね、そのお兄ちゃんが友達とと思える人とまた仲良くなれるかもと思いましてね、その許可も盗らずにOKしたのはそのすみませんねですけどね!お兄ちゃんだって悪いでしょ!だって」


「俺が聞いてるのは何故許可を送ったのかという点だけだ、他は求めてない。」


「ひゃい」


「はぁ、お前にまで変に気を使わせる気は無いそれに、行くことに不満は無い。罰として今日の晩飯なしで勘弁してやる」


「そ、そんな殺生な」


「ならば、今日学校をサボった件について」


「分かりました!七海はご飯なしで大丈夫であります」


こいつはと思いつつ結局休んだことに対しては何も言わずに終わった。休んだ理由はまぁ、分かるし、行きたくないなら行かなくてもいいだろう。とまるで良い兄のように言葉にせずそのまま部屋に戻る姿を見て七海は微笑み、ソファーでぐうたらの続きをしだした。


「だから言ってるだろ!ここには代入してから解かねぇと変な式になるって」


「分かっています、そう何度も同じこと言われるのでうんざりしてみすしてしまうだけです!」


「あ?じゃあ上等だ、この問題もちろん正解なんだろうな?」


「当たり前!やってやります」


朝皆がクラスに来るより早く二人は勉強を続けていた。今日は数学。昨日は英語こんな関係が始まってからもう三日目、木曜日。遊びに行くまでにここは分かっておきたいと沙耶に言われ朝から勉強を見ることになった。放課後も図書室で勉強。高校二年生といえどあっという間に時は進み、地獄は始まる。そんな誰もが言える当たり前の事を学年主任に言われアホくさと思ったのは内緒だ。


「出来ました!」


「…………」


「その沈黙!どうです?私の正解でしょ?」


ドヤ顔の沙耶にとても酷なことを伝えなくてはならない海斗は内心ウッキウキで答えを伝えた。


「不正解だ!」


「なぜ!?」


「ただの凡ミスだ計算ミスだ」


「ぐ、ぬぬ」


「まぁ?余裕らしいのに、オカシイな?とは思うけどよ」


「煽らないで!どうせ、残念だなwwとしか思ってないんでしょ?腹立つ〜」


してやったりという顔で沙耶を見る海斗はいかにもな悪役の顔だった。沙耶は計算をやり直す、ノートに向かうシャーペンの芯が何度も何度も折れている所から彼女の不機嫌も伝わった。沙耶と過ごしてきて分かったことがある。誰にでも敬語なこいつは、親しい人不機嫌な時、機嫌がいい時もだが、普通に話すし、大人びた印象の沙耶からは想像つかないギャップだった。


「おはよぉ」


教室にした挨拶の返しはペンの音と机をトントンと叩く音つまりは無視だった。海斗も沙耶も集中していて聞こえてないあるいは聞く耳を持っていなかった。そんな反応の無さに腹を立てたのか挨拶の主、祈織は二人の前の席に荷物を叩きつけ、ビビる二人に笑顔で告げた。


「お・は・よ・う・!!!!」


『お、おはようございます』


「よろしい。挨拶は大事だもんね?」


(笑顔が怖い)


「その薄気味悪い笑顔やめてくれ怖い」


「あら?私はいつもこうだけど?」


何をそんな上機嫌なんだわからん?海斗は思い顔を伺ったうん。やはり笑顔だ。何でこんなに怒っているのだろう?沙耶は不思議に思った。

本人はというと悶々としながらも、二人から目を離さなかった。二人からすれば理不尽なのかもしれない勉強している人にわざわざ悪態ついてまで挨拶させようとしたのは。ただ、二人っきりでこの状況でイラァとしたというか、自分でもよく分からなかった。


(何で私こんなに不機嫌なんだろう。あの日は過ぎてるし、ただイラァとする)


三人の中で沈黙が訪れるがそんなの気にせず勉強を開始したのは誰であろう海斗である、まぁそうだよねという二人の苦笑いに自分もと沙耶も勉強を再開した。祈織は飽きれればいいのか、文句を言えばいいのか分からず乾いた笑いが教室に響いていた。次に入ってきたのはやかましい運動部の連中でそこで朝の勉強会は終わった。

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