イラストレーターさん、難航中
ええ、相変わらずイラストレーターさん、難航中。
コレには理由がある。
私が好みにウルサイから。
この人のここが不安、ここが違う気がする、云々カンヌン文句ばっか言ってるから、なかなか決まらないのだ。
よく仕事で、デザイナーさんが上げてくれた素敵デザインに、アレコレ文句言う面倒臭い会社の気持ちが不意に分かってしまった……
編集さん、本当にご面倒をおかけしてしまい申し訳ありません。
問題になっているのは、ひとえに主人公についてだった。
編集さんも私も、『強そうな女性が好き』という認識は一致している。
ええ、ハイ。私は強そうな女性が大好きです!!
で。
じゃあその観点で探すとなると……
背景どうなる? ちょっと心配だよね、となる。
じゃあ背景もちゃんと描けるイラストレーターさんは? って探すと、確かに素敵背景を描いていらっしゃるイラストレーターさんがいたが……
……キャラの魅力が、なんか、下がるね、となった。
ヘタじゃない。
イラストレーターさんは、決して下手じゃない。
むしろ滅茶苦茶恐ろしいまでに上手い。
なのに、背景があって世界観が分かる系の表紙の場合、そうではないものと比較すると、魅力が下がって見えるんだ。
二人でうんうん唸る。
結果。
「……構成か?」
となった。
ポスターやチラシを代表とする、1枚ペラで見た人に訴えかけるモノ、というものには、必ず『求心力』があるのだ。
これはイラストレーターさんの能力以前の問題だ。
いくらイラストレーターさんが超絶技巧を凝らして素敵な絵を描いてくれても。
構成が下手だと、人に訴える力がない、となってしまい、せっかくの絵の魅力が死んじゃうんだ。
じゃあどんな構成がいいのか。
人に訴える力のある構成ってどんなだ?
ってところで、止まったわ。
それが分かるんなら、私はポスター構成やチラシ構成の仕事で食ってるわ。
口でいうのは簡単。
実際に考えるのは至難の技。
って事で。
ゼロから素敵構成を生み出す事何て到底できない。
なら。
自分が「コレは素敵だな」と思うラノベの表紙や、もしくは、映画等のポスターを参考にして、そこから要素を抽出するしかない。
ぶっちゃけて言うと。
以前本屋へ行って平積みされたラノベの表紙を延々見て回って思ったが。
あまり、求心力がある表紙があるようには感じなかった。
多分、私の好みに引っ掛からなかったんだよ。
プロの人が作ってるんだから、何かしら魅力はあるはずだし。
ただ例えば。
「コレすげぇな」と思ったポスターはある。
最近でいうと「ミッドサマー」のポスターだ。
ミッドサマー、知ってる?
胸糞映画としてカルト的人気を誇る映画だよ!
内容には触れず、ポスターだけについて語ると。
ポスターの左半分は、主人公の女性の顔で埋め尽くされている。
まぁ、それだけであれば別に特別な事じゃない。
特筆すべきなのは。
その主人公は、美しい花冠をかぶっていて、可愛い刺繍が施された服を着ていつつも──顔を歪めて泣いているところだ。
静かに涙を流してるんじゃなくって、嫌悪に近い感情に顔を歪めて泣いてる。
コレ、結構印象に残ってる人、いるんじゃないのかなぁ。
すごく印象に残るのはその主人公の泣き顔なんだけれど。
よくよく見てみると、背景は物凄く美しい花畑と、抜けるような青空なんだ。
物凄く美しい背景なの。
で、その花畑の奥に──あやしいモチーフを掲げた村人らしい小さな集団が見える。
よくよく見ると、物凄く
そこから、少なくとも、コレはハッピーエンドな映画ではないのだという事が感じられる。
・主人公の顔で見た人間の意識をポスターに向けさせ
・主人公の泣き顔と、背景の美しさと違和感で不穏感を煽る
秀逸なポスターだと思うなぁ。
本来、ポスターや表紙にて、主人公と背景を配置するのであれば、こういう風に配置するのがいいのだろうな、と思ったよ。
ただ、こんなん簡単に思いつけるもんじゃないんだよ。
才能のない私で考えられるものを考えないといけないんだよ。
そういう時は、感性に頼るのではなく、論理的に考えていくのがいいかも知れない。
ラノベの表紙をみると分かるんだけれど、『視点』が平坦である事が多い。
主人公たちを同じ視線の高さで正面から捉えた構図ね。
コレって、安心感を与える代わりに、平坦な印象も与えるんだよ。
それを崩す為にはどうしたらいいかっていうと。
視線の高さを高いところから見下ろす──
コレをすることによって、見てる人に少しだけ、普段と違う感覚を与えます。
コレは当然で。
普通の人は自分の視線の高さで物を見てるからね。
面白い事に。
少し高いところに上がって見たり、逆にしゃがんで正面を見てみたりすると、いつもと違う視点の高さに、普段の感覚とは違うものを感じるんだってさ。
試しにやってみるといいよ。
幼児と同じ視点の高さになってみたり、身長190cmぐらいある人と同じ視点の高さになって、いつもの景色を見てみれば「いつもと違う」って感じるから。
そういった感じで、視線の高さを変えるのが一つの手法。
もう一つあるよ。
斜めにするの。
コレも同じ。
普段我々は正面からまっすぐに回りを見ています。
斜めにするだけで、少し違う印象を与えるんだよ。
こっちは、身長の時と違って、首を傾げていつもの見てる景色を見ても、違和感を感じないよ。
コレは人間の脳みそには補正能力が入ってるからね。体が傾きを感じていると、視界を脳内で補正しちゃうんだよ。
見てるものが斜めである、と感じるには、対比として真っ直ぐであるものをそばに置くのがいい。
本の表紙で行ったら、本の表紙が長方形なので、その表紙の形に対して斜めに書いてあれば、ちゃんとそれは「斜めである」と感じるよ。
で。
これは。視点の高さを変えるのと同じような効果があるみたい。
人は真っすぐ垂直であるものには安定感を、斜めであるものには違和感を覚えるようになってる。なんか違和感あんな、と思ったら微妙に斜めになっていた、とかね。ある話っすよ。
あ。
忘れてた。
表紙で大切なこと。
キャラ立ちの強さを表現する為には──
表紙にいるキャラと、本を手に取った人の目が合う事、みたいだよ。
表紙のいるキャラがこっち見てると、意志の強さ、こちらに訴えかける何か、を感じるみたい。
ふむ。
私が論理的に考えられるのは
・俯瞰 or アオリの視点
・斜めにする
・主人公と目が合う
ぐらいか。
これ以上は分からん……今まで勉強してて知ってたのはコレぐらいだから。
しかも。
このルールを分かってたとしたって、上手く作れるかは別や。
コレだけが『求心力』となるのなら、他のポスターや表紙もこぞってそうしてるしな。
やってないって事は、ハードルが高いって事なんだよ。
しかも。
これはあの構図だけの話じゃない。
タイトルも表紙の一部だ。
文字をどこかに載せる必要がある。
それだけじゃなくって──
ラノベのタイトルはクソ長いんだよ……
文章になってるのが殆どなんさ。
つまり、そのクソ長ぇタイトルを飾り文字になった上で、表紙のどこかに配置せにゃならん。
フム、なるほど?
クソ難しいな?
だから、視点平坦のキャラ正面向き表紙が多いんだな。
なるほど理解。
ソレほどまでの難関じゃあな。
仕方がないな。
それ以外にも、視点平坦でも素敵な絵がある。
ライトノベルから少し離れて、キャラ文芸とか見ると途端にテイストが変わるよ。
もう少し大人びた、明度・彩度が少し低くなった、総じて「なんかちょっと暗くないか?」というヤツが。
キャラ文芸の場合は、ティーン向け表紙よりも落ち着いてて、それでいて、何か少しだけ、目を引くポイントを用意してたりしてる。
うーーーーーーーーーーーーーん……
総じて、表紙のデザインは千差万別で、じゃあ自分ならどんな表紙にするか、なんてものは全然思いつかないな。
ふむ。
無駄時間!!!
結局「自分では何も出来ない」っていう事が分かったぐらいしかなかった!!!
あー。そうか。
ここら辺は、編集者さん、装丁デザイナーさん、イラストレーターさんの意見を聞きながらじゃないと分からんわ。
畑違い過ぎて。
私はこと、「映像」関係には疎いんよ。映画みたり漫画読んだりは好きだよ? でも、自分で生み出す事をしてこなかったので、「手法」が分からないから。
そういう時は、プロに聞いたほうがいい。
って事で。
今回はここまでね。
以上!
それではー!!
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