企画と予算、稟議通過と計画頓挫のアレやコレ①

 応援メッセージで

『リリースが決まってから作業開始じゃないのですね!』

 とのお声をいただいたので。


 そこらへんも含め、企画、調整、予算、そして稟議りんぎ通過or計画頓挫とんざについてを書いて行こうと思うよ!


 ただし!!


 これはあくまで、私の予想です。

 私は出版業界にいたといっても、あくまで印刷工程しか知らないし。その前までにどれだけの事があるのか全然知らないんですよ。

 でも、予算の付けられ方とか、企画の進み方、調整過程等については、私がやってる仕事の方をもとに、予想する事はできる。


 なので、その予想をもとに、色々書いてみようかと思います。


 まずそもそもなんだけれど。

「なんで作家への声掛けが、決定の後じゃないのか?」

 についてですね。


 これは、そもそも企業のプロジェクトの進行方法に影響を受けているからです。


 まず、企業のプロジェクトは、基本、何事もまず『企画』からスタートします。

 今回の事でいうと、プロジェクトの趣旨は『悪役令嬢継母作品を商業書籍化して販売する』になります。

 その為の企画をまず立てる事から始まります。


 んで。

 この『悪役令嬢継母作品書籍化プロジェクト』に、一番大切で、一番欠かせない事があります。

 それは。


「作者の許可」です。


 著作権は私が持ってますんで、どんだけ素晴らしく数千億円を生み出すって分かってる作品だとしても、私の同意がないと、出版は出来ません。

 どんだけ完璧な計画が立てられて、超絶人気のイラストレーターさんがおさえられ、印刷工業の手配も終わり、販売店が決定してたとしても。


 私は「やだ」と言った時点で、計画が頓挫とんざするんですよ。


 だから、まず真っ先に確認するんです。

「商業出版する気はありますか?」

 って。


 これが、編集者さんから行われる、作家への声掛けです。


 もし、全てが決まった後に、作家の「やだ」の一声で全部覆られると。

 出版社自体が信頼を失います。

 出版社に一切の非がなくっても、全てのネゴが無駄となります。

 イラストレーターさん、装丁デザイナーさん、印刷会社、販売店、etc……全てが作業の為にスケジュールを空けて準備してくれていたのに、その約束を反故ほごする事になってしまいます。

 場合によっては契約不履行違反として違約金支払わされたりとかね。


 なので、一番大切で一番重要な「作家の出版意思」の確認を、一番最初に行うんですね。

 ここが、『悪役令嬢継母作品書籍化プロジェクト』の企画のスタートラインなんです。


 だから、「決定前に作家に打診がいく」んですね。

 作家としては「決定からにしてくれよ……」と思わなくもないですが、まぁ、そこは、こういう大人の事情があるからって事で。どうぞ、よろしく。


 ハイ。

 じゃあ、作家に声掛けも終わり。『悪役令嬢継母作品書籍化プロジェクト』の企画がスタートしました。


 ここら辺、編集者さんの進め方によると思います。

 ある程度自分の中で企画を形作ってから、作家に声をかける人もいれば

 作家への声かけからマジで第一歩目をスタートし、ここから企画を準備していく場合もあるかと思います。

 企画を主導する人のタイプによって、進み方は変わりますよ。

 出版業界以外だけの話じゃないっす。IT業界でもそういうの、ありますからね。


 ま、どんな形にせよ、企画がスタートしたとして。

 その後の話です。


 実はこの時点で、出版社は、この『悪役令嬢継母作品書籍化プロジェクト』に対して、

 編集者さんへのお給料以外のお金を払っていませんし、

 編集者さんへのお給料以外のお金を払ってくれません。

 そもそも、『悪役令嬢継母作品書籍化プロジェクト』が企画段階では、まだ、出版社さんは、プロジェクトに対して、一銭も払ってくれません。


 何故なら。


 まだ、『予算』がついてないから。


 予算とは、まあプロジェクトや事業を行うにあたって、支払いに利用されるお金の事です。

 この『支払い』は何かっていうと、例えば外部企業等への作業費等です。

 イラストレーターさん、装丁デザイナーさんへの支払いの他、印刷会社への支払いや、輸送費等ですね。

 この予算には、作者への支払いは含まれておりません。


 これは出版社以外にもいえることなんだけれど。

 会社のお金を使いたい時には、まず『いくらぐらい使いたい』と申告する必要があります。

 その申告に基づいて「ほらよ」と渡されるお金が『予算』です。


 そう。

 企画段階の時点で、「どれぐらいのお金使いたーい☆」って、会社に申告する必要がある。

 それが「OK☆」って出て、初めて『予算』という使えるお金が渡されるんですね。

 でも勿論。

 会社は言い値の予算をくれるワケもありません。

 根拠が必要です。

「なんでそんなに金かかんねん。まず使い道を言えやコラ」

 と、会社の方は、申告されたお金の使い道の詳細を確認してきます。


 まぁ、当たり前だわな。

 何に使われるかも分からんで「お金使っていいよ☆」とは言えんわな。


 そこで、必要となるのは。

 外部企業等からの作業費等の見積書です。

「この作業にはこれぐらいの金額がかかります」と、打診された作業内容に合わせて、外部企業はそこにかかる金額を提示してくれます。それが見積もりです。

 それが書類になってるのが見積書です。これが予算金額の根拠になるんですね。


 ただし。


 外部企業だって、適当に見積もり金額を出して来てるワケじゃないっす。

 ちゃんと、予定されている作業内容に合わせた見積書を出してきてくれます。

 じゃないと、予想より作業が多くコストがかかりすぎてしまう事もあるし、予定していたスケジュールをオーバーしてしまい、他作業へ影響を及ぼしてしまうかもしれないから。


 そう。

 つまり、この時点で。


『予想される作業の内容』を、外部企業へ伝える必要があるんです。

 なので、外部企業を予想される作業を伝える為に、企画段階で、「この企業には何をお願いするか」を詳細に決めている必要があるんですよ。


 場合によっては、複数企業に見積もりを依頼し、提出された作業クオリティ(予定)と金額によって、企業を選んだりします。


 イラストレーターさんへの依頼も同じ。

 まずは見積もり依頼を行い、「この枚数、このクオリティ、これだけ細かい絵の場合には、これぐらいの時間と金額がかかります」と見積書を提示してもらうんですね。

 ……まぁ、実際に書類としての「見積書」があるかどうか知らんけどね。

 私の仕事では、イラストレーターさん、デザイナーさんにも見積書を作ってもらって、それをもとに請求書とか作って返送するからな。


 って事で。

 会社から予算を付けてもらう為に。

 その前までに、外部企業から見積もりを取らないといけなくって。

 でもそも見積もりを取る為には、作業内容の詳細を詰めておく必要があって。


 といった感じで。


 そもそも会社に『プロジェクトを実施する為のお金ちょーだい☆』ってする為に、

 細かく内容を詰めておく必要があるって事なんです。



 ……これ、1エピソードじゃ書ききれんわ。

 次回に持ち越そう。


 もっとサラッと書こうと思ったのに。

 思いのほか細かく書いちまったわ。

 書いてるウチに楽しくなってきちゃった☆


 って事で。

 続きは次回ね!

 今回はここまで!

 それでは!!!

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