楽園

勝利だギューちゃん

第1話

意識が遠のく

それを自覚している


まるで、どこかの世界に意識的に落ちていくような・・・

そんな感覚を覚えている。


意識を取り戻した。

いや、この表現は間違いか・・・


気温は、丁度いい。

寒くもなく暑くもない。


辺りにはだれもいない。

いや、ちらほらといるか・・・


年齢も性別もばらばらだ・・・


「来たね」

「君は?」

1人の女の子に声をかけらる。


「私・・・私は君の守護霊」

「守護霊?」

「うん。守護霊だよ」


僕の守護霊が、女の子だったのか?


「おどろいた?可愛い女の子で」

「かわいいとは言ってない」

「じゃあ、ブスなの?」

「・・・いや、かわいいと思う」

「素直でよろしい」


素直ね・・・


「ところで、ここはどこ?」

「ここは君の意識の中」

「意識の中?」

「うん」

「周りの人たちは?」

「君のご先祖様・・・」

「ご先祖?」

「といっても、はるか昔のね」


はるか昔か・・・

何世代前だろう?


「でも、何で僕はこの世界に落ちたの?」

「覚えてないよね・・・」

「うん。君は倒れたんだよ。熱中症で」


なんとなく思い出してきた。

そういや、クラクラしてたんだ。


「さっきの話だけど・・・」

「何世代前かという?」

「うん。だいたい君たちで言うと、室町から江戸あたりかな」

「そんな前?」

「うん。それにしてはみんな歳とってるね。あの辺りだとせいぜい50歳」

「まあ、君の家計はどちらも長生きだからね。短命でも80は生きているよ」


どうりで、祖父母も曽祖父母も元気なわけだ。


「だいたいわね・・・」

「だいたい?」

「うん、ひとりだけ若くして亡くなった女の子がいるの」

「いくつくらいで?」

「16歳。今日みたいな暑い日に熱中症でね・・・」


そうなんだ・・・

えっ、16歳?

まさか・・・


「そう、それが私」

「君なの?」

「うん」


じゃあ、実年齢は・・・


「そこから先いったら、ただじゃおかないわよ」

女性に年齢は、禁句だったな。


「で、僕にどうしろと?」

守護霊は微笑む。


「君、お墓参りは行っている?行ってないよね?」

「ああ、両親も祖父母も曽祖父母も元気だからね」

「行きなさい」

「ワンスモア」

「お墓参りに行きなさい」

「場所知らん」

「ご両親に訊きなさい」

「はい」


恐縮するしかなかった。


そして、数日後。

意識の戻った俺は、ご先祖のお墓参りに来ていた。

意外に近くだった。


守護霊ということは、今も背後にいるのか?

まあいい。


「しかし・・・」

意外に綺麗だな。


もしかしたら、両親とか来ていたのか?


墓を綺麗に洗う。

ゴシゴシ・・・


あれ?

この墓動くな・・・

動かしてみよう。


罰当たりかな・・・


あれ?

手紙がある。


何て書いてあるんだ。


読んでみる。


「来てくれてありがとう。

我がかわいい弟よ。

私は君の姉。

訊いているよね?

私は、君の守護霊として、いつもそばにいるからね。」


いたずらか?

頬をつんつんされる気がした。


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楽園 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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