第7話 だって、きっと、君が産まれる前から、僕らは、導かれていた。
三十七年前、
ただ幼い頃から植物オタクだったアイファは、フィールドワークを兼ねた植物採取が趣味だった。
人の手が入っていない、
「相変わらず、
幼馴染みであるジェンは、文句を言いつつもアイファの趣味に付き合っていた。
「だから、嫌ならついてこなくていいと、いつも言っているだろ」
先頭を歩くアイファは、魔法薬理学者の
「馬鹿言うな。そんな事をして、お前を一人で行かせ、怪我でもさせてみろ。僕が教授や、先輩方、後輩たちから非難されるじゃないか」
「何でだよ」
「お前は何気に有名人なんだぞ。“神を超える手を持つ”アイファ・シューラーさん」
史上最年少、十五歳で医師免許を取得したアイファは、当時、各メディアから引っ張りだこだった。
「やめろ、お前にさん付けで呼ばれると鳥肌が立つ。それに、勝手にメディアが騒いだだけだろ。俺としてはいい迷惑だ」
どこで情報を入手したのか、家にまで押し寄せてきたメディアもいた。
「でも、追い返したんだろ? そして、逮捕に役立てたそうじゃないか」
「当たり前だ」
個人の住所や名前を、闇ルートで入手し、密売している
「後でやっていた特番でさ、
「何も恐ろしくないだろ。人として当然の事をしただけだ」
「いやー、それには僕も激しく同意して、笑っちゃったよ。だってさ、その少し前の特番でさ」
「お前、特番好きだな」
「まぁいいじゃないか。でさ、少し前の特番でさ、医師の試験の様子を放送していたんだけれど。お前が受けた時の試験官、世界で五本の指に入る名医だったのに、お前の手腕を見て、自信をなくして辞職し、故郷に帰ったらしいよ。いやー、あれには大笑いしたなー」
「医師免許は国家資格、試験は毎年開かれるわけではない。だから、持てる力を全て尽くしただけだ」
この世界の医師試験は、五年に一度。故に、医師を目指す者は若い内から、もう勉強を重ねて、全力で挑んでいる。
「というか」
アイファは立ち止まり、振り返った。
「お前、何気に酷いよな」
「えー?」
「消沈して帰国した医師を笑うなんて」
「だってさ、インタビューの最後に」
『あの少年は、全医師の敵です……』
「なーんて言うからさ、いや、同業者じゃん、と思って可笑しくてっ」
ジェンはケラケラと笑った。
「お前な……」
その時、前方の草むらが動いた。二人に緊張感が走る。
「また野生の猪か?」
「そうかもしれないし、もっとデカい奴かもしれない、気をつけろ」
二人は臨戦態勢になり、いつでも魔法を唱えられるよう構えた。
そんな二人の前方の草むらから現れたのは、野生の猪ではなく、
「お!? こんな所で人に出会えるとは! 俺はついているな! わっはっは!」
頭や衣服、そして白衣に、草や枝をつけ、あちこち土で汚れた、濃いベージュの髪をした筋肉質で大柄な男だった。
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