第16話後日談

402号室から出た直後、椿は稲辺に質問した。

「不躾な質問ですが、最近この辺で子どもが亡くなった事故というのはありましたか?」

「子どもが亡くなった………あっ!?思い出した!十三年前にそんなことがあったな。」

「ホントですか?」

「あぁ、ついてきてくれ。」

稲辺が椿と三吉を案内したのは、団地の南の角にある電柱だった。そこには花とお菓子が置かれている。

「十三年前の五月だったか、一人でお使いに行った男の子が、車に轢かれてこの電柱に体を強くぶつけてしまったんだ。即死だったよ……、あんなに小さいのに……」

椿と三吉はここで亡くなった男の子に手を合わせて、スタッフルームへと帰っていった。

その後、道草と朝美が例の団地付近でおきた事故について調査した結果を報告した。それは稲辺さんが話した内容と一致していた。

そして車に轢かれた男の子は···、駿斗ハヤトという名前だった。駿斗くんの霊が、川崎拓哉が行ったひとりかくれんぼによって召喚されてしまったというのが、今回の真相だ。

そしてドキュメンタリーを制作し終えた我々は、真相を追求できなかった川崎拓哉かわさきたくやのその後の所在を知った。

彼は静岡県のとある岬にて、海に身を投げたらしい。宿泊していた宿から「もうダメです、私は死にます。ごめんなさい」と書かれたメモ帳が発見されたという。

そしてあの402号室には、椿が稲辺に紹介した霊能者·ミスズが来て、霊をお祓いしてくれた。

しかし402号室は今後住人を住まわすことはなく、稲辺さんが駿斗くんの第二の墓として管理するという···……。


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現実超常ドキュメンタリー特派員・ひとりかくれんぼの後始末 読天文之 @AMAGATA

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