第12話呼び出された霊
投稿者からの映像を見たミスズさんは、注文したアイスティーを一口吸うと、映像を見て思ったことを言った。
「まず、この映像の霊には強い怨念を感じます。幼くして命を落としてしまった子どもの、強い無念を・・」
「なるほど・・」
「ただ、気になるのは霊がいる場所というのが、その霊が生前亡くなった場所ではないということです。」
「は?それはどういうことですか?」
「つまり、この団地の部屋はこの霊とは何も関係ない、見ず知らずの場所ということです。」
子どもの霊とは関係ない団地の部屋、では一体なぜ子どもの霊は、団地の部屋へ来てしまったというのだろうか・・?
我々は調査したことをミスズさんに話すと、ミスズさんはある仮説を立てた。
「おそらく・・・、ひとりかくれんぼが行われていたと思います。」
「ひとりかくれんぼですか?」
椿はその言葉に覚えがあった。
ひとりかくれんぼとは都市伝説の一つで、降霊術の一種である。類似するものに昭和の日本で十代を中心に流行ったこっくりさんや、アメリカのウィジャボード、最近流行ったものだとメキシコのチャーリーゲームがある。
ひとりかくれんぼなんてとっくに名前も聞かなくなった言葉になっていたが、いまだにYouTubeのオカルト界隈では根強く残っている。
「おそらくはこの部屋に住んでいた住人が、遊び半分でひとりかくれんぼを行ったことで、この子どもの霊が召還されてしまったということでしょう。」
「なるほど、そういうことか・・」
今後の調査方針がハッキリ見えた椿は、ミスズにお礼を言って喫茶店を後にした。
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