第6話402号室(2)

402号室を一通り見た我々は、管理人室へと向かった。

「お前さんがた、何かわかりましたか?」

管理人の稲辺養三いなべようぞうが我々に訊ねた。

「はい、この部屋にはやはり何かでるようですね・・。」

「やっぱりか・・・、困ったもんだよ。近所迷惑をかけるわ、不気味がってだれも借りなくなるで、本当に迷惑だよ。」

稲辺はほおづえをついて愚痴をこぼした。

「ところで、この部屋が心霊スポットと呼ばれるようになったのはいつですか?」

「つい二年か三年前だったかな、302号室の田中たなかさんと401号室の真金まがねさんが、402号室から子どもが騒ぐ音や米つぶが落ちる音が聞こえるって言うんだよ。それで二人と一緒に402号室を見てみたら、だれもいなくてあれっと思ったよ。」

「それで402号室には、だれが住んでいたのですか?」

「川﨑さんだな、年は二十代くらいの。今はどこにいるのかわからん」

「それは失踪したということですか?」

「あぁ、連絡がとれないんだ。失踪して翌月からの家賃を滞納しててな、実家にも連絡してみたんだけど、帰ってきてないらしいんだ。」

かつて402号室に住んでいた川﨑かわさきさん、彼はこの部屋で起きる心霊現象と何か関係があるのだろうか?

我々は管理人に電話してもらい、302号室の田中さんに取材を申し込んだ。それと同時に、402号室に監視カメラをつける許可を取った。



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