第7話402号室(3)
我々は302号室の田中さんに来てもらい、団地の広場のベンチで取材を始めた。なお本人の希望で顔出しNGということで、ご了承いただきたい。
「えっと、あの日は昼寝をしていたんだ。そしたら天井からドタドタドタドタと、大きな足音が聞こえてきたんだ。ここは古い団地だから、上から足音が聞こえることがあるんだけど、足音が続いて寝れなくて腹が立って、文句言ってやろうと402号室に来たんだ。」
「それで、402号室にはだれかいましたか?」
「いや、呼び鈴鳴らしてもノックしてもだれも出なかった。ただ、ドアは開いていたんだ。」
「ドアが開いていた・・?」
「あぁ、それでドアを半分開けて『だれかいるかー?』と大きな声で呼んだけど、結局返事は無かった。仕事でいないと思い、その時は402号室を後にしたんだけど、よくよく考えれば気味が悪かったね・・」
「それでは、真金さんとの件について話していただけますか?」
「真金さんは私の知り合いで、同じ団地に住んでいることは互いに知ってました。それであの日の二十時だったかな、またドタドタドタドタという音が聞こえたんだ。それで今度こそ住人が帰ってきたと思って、402号室へ向かったらドアの前に真金さんがいたんだよ。」
「それで、真金さんはなんて言っていましたか?」
「ドアを何度もノックして、だれかおらんかと叫んでいた。私は真金さんに声をかけて、昼間のことを話したら、真金さんが『中に入って、様子を見よう。』と言ったんだ。」
「それで部屋の中へ入ったと?」
「あぁ、部屋の中は暗くて床に物がたくさん落ちていた。リビングに進んだとき、テレビの砂嵐が聞こえたんだけど、テレビは点いていなかった。さらに『たくやくーん、どこにいるのー?』って呼びかける子どもの声が聞こえてきたんだ。さすがに気味が悪くて、すぐに部屋を出ていったよ・・」
部屋から聞こえるドタドタドタドタという音や、テレビの砂嵐に子どもとおぼしき声。
果たしてこれらは、何を意味しているというのか?
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