第4話取材(2)
幸生くんと母親がスタッフルームから退出してしまい、我々は撮影者の浜路に取材を続けた。
「幸生くん、取材中なんか変じゃなかったかしら?青い顔で、喋りもおぼつかない感じだし・・」
朝美が言うと、浜路が口を開いた。
「きっとトラウマが蘇ったんだと思います。あの撮影の後幸生は部屋から一歩も出てこずに、夏休みが終わっても学校に行かなくなってしまったんです。今はカウンセリングを受けたこともあって、立ち直ることができたけど、オカルトへの熱はすっかり冷めてしまいました。」
現実に怖いものを見てしまい、恐怖心が楽しむ心を打ち負かしたのだろうと椿は思った。
「そうでしたか、そうとは知らずにすみませんでした。」
「いえいえ、気にしないでください。」
我々は気を取り直して取材を続けた。
「それで一緒に団地に行ったアキラくんの連絡先とかって、わかるかな?」
「すいません、それはわかりません・・。幸生が引きこもりになった時に、何度も家に来たり、心配そうに電話をかけてきたことはあったんだけど、やっと学校に通えるようになった頃には互いに遊ばなくなったそうです。元々、オカルト好きがきっかけでつるんでいただけなので。」
「そうですか」
我々は幸生くんが通っている学校の連絡先と例の団地の住所を教えてもらい、取材を終了させた。
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