第3話取材

我々は投稿者の真純幸生くんの家に連絡し、取材を申し込んだところ、母親と浜路を連れてスタッフルームへ伺い取材を受けることになった。

午前10時、我々のところに幸生くんと浜路くんと母親の三人がやってきた。フリーレポーターの朝美とディレクターの椿が取材を担当することになった。

「では、あの映像を撮影した時のことを教えて下さい。」

「はい・・、去年ぼくはアキラくんと一緒に近所の心霊スポットについて、自由研究をしていたんです。あの団地のことは近所の人から聞いて、変な音がしたり子どもの声がするとか言われてたみたいです。」

「幸生は三年前から去年まで、オカルトや心霊現象にハマってた時期があって、アキラとは共通の趣味でよく遊んでいたそうです。」

浜路が情報を付け加えてくれた。

「それでは浜路さん、あなたはどうしてあの映像を撮影したのですか?」

「去年の七月のころに、幸生が『動画を撮りたいからビデオカメラを貸して』とお願いされて、自由研究の発表でみんなに動画を見せるからって、カメラの扱いになれてるのオレだけなんで、二人について行くことになりました。」

「君が書いてくれた手紙に団地の住所が書いてあったけど、そこは君の家から近いの?」

「いいえ、あの日は自転車でそこへむかって、家から三十分くらいかな。」

「それでは幸生くん、団地の中を撮影した時のことを、話してくれるかな?」

幸生くんは下を向きながら、顔に汗をたらしている。そして精一杯勇気を出して、我々にあの日のことを告げた。

「その部屋の中は物が全然なくて、全てが片づけられている状態でした」

椿はDVDでその時の様子は確認していた。

「部屋を一通り見て、何も出なかったからもう帰ろうかと話していたら、浴室からパラッ、パラッって音がしたんです・・。それで浴室を見たら、ふたをした風呂から音が聞こえていたんです。」

「それでふたを取ってみたら、ぬいぐるみがあったと・・」

「はい、それでぬいぐるみには米つぶがあって・・・」

すると幸生は突然、席を立って部屋から出ていってしまった。

「すみません、すみません!」

母親は我々に頭を下げると、幸生くんを追いかけて部屋を飛び出した。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る