第30話 ゾンビAI★すらぐちゃん
西暦2200年、日本。
AI技術が発達し、事務、在宅系の仕事はAIのサポートが必須となっていた。
しかし、肉体労働をするAIロボットの制作は、世界中で金属資源の枯渇が深刻となっている現在では難しかった。
そのため、日本のとある研究者によって開発されたのが「ゾンビAI」である。
ゾンビAIとは、死亡した人間を特殊な腐敗防止技術により、腐らないようにし、
「ゾンビ状態」になった検体の脳に、特殊なAIチップを挿入し、操作できるようにした、肉体がゾンビのAIである。
そんな日本で、無気力にボーっと生きてたバイト暮らしの俺が、何の因果か、ゾンビAIのすらぐちゃんを拾ってしまって、一緒に暮らし始めて……
「あれから100年が経った。今では俺もゾンビAIだ。孫にあげるのはもちろん高級エネルギードリンク。なぜなら彼もまた、特別な……ってなんだこのクソ漫画は!?」
俺がゾンビになってるのもおかしいし、なんなら孫もゾンビになってるじゃねえか。人間絶滅したんか?
「どう? インターネットの全知能を集めてボクが作った最強の創作マンガ」
「最悪だよ。なんなら最初の方ほぼパクリねえか」
AIが全力出して作ったのがこれならまだまだ創作界隈は安泰だな。いや知らんけど。
「ほならね、ろーくんが作ってみろって話ですよ」
「批判レビュー受けた映画監督か」
まあでも、あの監督の作品はゲームのOP映像作ってた頃の方が好きだけど。
「え~! ろーくん作ってよ~マンガじゃなくて良いからさ~WEB小説とか書いて書籍化目指そうよ~」
「そんな簡単にいくわけないだろ」
「ボクたちの日常をいい感じに脚色して書けば大バズり間違いなしだよ! そして書籍化からのアニメ化でお金ガッポガッポ! AIが言うんだから間違いないよ!」
間違いしかねえよ。
「そんなんで稼げたら世の中のゾンビAIユーザーはみんな金持ちになってるって」
「うーん、そっか~。ろーくんもお金ないしね」
「すらぐちゃんの食費が原因の大部分だけどな」
それにしても、俺たちの日常か。出会ってから100年どころか、半年も経ってないけど色々あったな。
すらぐちゃんはゾンビAIだ。このままずっと一緒に過ごしていたら、いずれ俺だけが年老いていく。
いっそのこと、そうなる前に俺もすらぐちゃんみたいに……
「はっ! いかんいかん。なんか一瞬すげーヘラってた」
「ヘラジカってる?」
「ヘラクレスオオカブトかな」
なんの話?
「じゃあさじゃあさ、4コマ漫画とかどう? 新聞のはしっこに載ってるやつ!」
「あー、からあげクンみたいな?」
「クボちゃんみたいな」
4コマなら意外といけるか? すらぐちゃんと出会ってから、毎日オチがある日常を送っている気はする。いやオチがある日常ってなんだよ。
「目指せ毎日連載100周年だね!」
「そっすか……それで? タイトルはどんなのにするの?」
冴えない男と美少女ゾンビAIのゆるふわドロドロ日常ノンフィクション。それが……
「ゾンビAI★すらぐちゃん!」
おしまい。
ゾンビAI★すらぐちゃん ふぃる汰@単行本発売中 @saw92
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