第29話 これなーんだ?




「ろーくん、これなーんだ?」



「は? 何が?」



 すらぐちゃんがいきなり『?』マークの書いてある箱を持ってきた。どこで手に入れたんだそんなもん。



「アキネーターゲームだよ! 最近ショート動画とかで流行ってるでしょ?」



「ああ、中に入ってる物を質問して当てるやつか」



 そういえば最近よく配信者がやってるのを見かけるな。



「ふっふっふ。アキネーターといえばAI、AIといえばボク!」



「まあ、アキネーターっていえばあのアラビアンなオッサンAIだもんな」



「というわけで、はい! ろーくん、これなーんだ?」



「いやすらぐちゃんがそっち側やるのはおかしいだろ!!」



 出題側じゃねえか!



「まあまあいいじゃん。後で交代してあげるから」



「まったく、しょうがねえなあ」



「なんかちょっとウキウキしてるね」



 意外と楽しみにしている自分に驚いたんだよね。



 __ __



「えーと、じゃあまずは……生き物ですか?」



「はい!」



「生き物なのか……えっ生き物が入ってんの!? ちょっとへんなもん拾ってくるなよ! えっなに? 捨て犬とか?」



「ぶっぶー」



「じゃあ捨て猫?」



「ぶっぶー」



 ええ……なんなんだよ。



「それは1匹ですか?」



「いいえ!」



「えっ!? そこにいっぱい入ってんの!?」



「はい!」



 いやマジで分からんのだが。え? なんだ?



「それは哺乳類ですか?」



「いいえ!」



「それは既に死んでいますか?」



「いいえ!」



 生きてんのかよ……



「……虫?」



「いいえ!」



 よかった、大量のゴ〇ブリとかだったら絶望してた。



「……それは食べられますか?」



「はい!」



 食用かよ。余計分かんねえよ。



「えーと、じゃあ……ドジョウとか?」



「ぶっぶー」



「……スマン、お手上げだぜすらぐちゃん。正解を教えてくれよ」



「はい、ろーくん残念~! 正解は……じゃーん! 納豆菌でした~!」



 中から納豆が1パック出てきた。いやわかるかい。



「じゃあ次、ろーくんが鬼ね」



「鬼ごっこじゃねえよ。出題者な出題者」



 よし、こうなったら俺もすらぐちゃん方式でいってやるぜ。



「よし、セットしたぜ。すらぐちゃん、これなーんだ!」



「それは食べ物ですかー?」



「いいえ」



「生きてますかー?」



「はい」



「納豆菌ですかー?」



「ぶっぶー。食べ物じゃないって言っただろ」



「うーん、それじゃあ……」



 くっくっく。これでもうお手上げだろう。そう、なんたってこれは……飲み物だからな。



「それはラクトバチルス・カゼイ・クロタ株ですか?」



「えっ?」



「だから、それはラクトバチルス・カゼイ・クロタ株ですか?」



「……ちょっと調べてもいい?」



「いいよー」



 ……。



 …………。



「……まあその、一応正解です」



「やったー!! ボクの勝ちっ!!」



「そ、そんなばかな……」



 ちなみに中に入れたのは冷蔵庫にあったヤクルド99999。ラクトバチルス・カゼイ・クロタ株ってのはヤクルドに入ってる菌だった。



「そんなピンポイントで当てられることってある?」



「ボクは天才AI、すらぐちゃんだからね! ろーくんの後ろのウェブカメラをハッキングしてちょちょいの……あっ」



「……おい」



「あ、その……嘘を嘘と見抜けない人はアキネーターを使うのは難しいんだよね」



「やかましいわ!!」



 ゾンビAIアキネーター、信頼度/Zeroであった。

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