第27話 Dr.イモータル
前回までのあらすじ。
イフ先輩の配達に付き合ってゾンビスラムに行ったら、Dr.イモータルとかいうゾンビAIの医者がいた。
その医者にすらぐちゃんを奪われそうになってます。
「ろ、ろーくん……た、助け……」
「あ、あの、ドクターイモータル? すらぐちゃんの首が取れかかってるんでちょっと離してもらっていいすか」
「オーウ! 誠にソーリー」
なんとかドクターのヘッドロックからすらぐちゃんを解放させることに成功する。
「危なかったー。あれ、ろーくんどこ?」
「すらぐちゃん首が後ろ向いてる」
「あ、そっちか」
ぐるんっ
「うわあっ!」
「ん? あ、イフちゃそやっほー」
「やっほーじゃねえよ! 気軽に首を一周させんな! 心臓止まるかと思ったわ」
「そしたらボクとおんなじだね」
「オーウ! イフさんもゾンビAIになりますかー? ワタシにお任せデース!」
「ならねえわ!」
__ __
「イフちゃそのケーキおいしー」
「作ったのは親父だけどな」
「パパって言いなよ」
「うるせえな!」
ドクターが注文したケーキをみんなに振舞ってくれた。
「よかったんですか? 俺らもご相伴にあずかっちゃって」
「オーケーオーケー! かわりにすらぐちゃん貰いますネー」
「いやあげないけど」
「ろーくん……きゅん」
「そのセルフ少女漫画SEいらないから」
それにしても、この人はなんでこんな所に住んでいるんだろう
「ドクターはここで何してんの?」
「ゾンビAIの闇医者デース」
「や、闇医者?」
まあこんなスラムで診療所開いてるくらいだし、まっとうな人ではなさそうだけど。
「具体的にどんなことしてんの?」
「ンー、そうですねえ……色々やってますが」
ドクターは少し考えてから話し出した。
「遺体のゾンビ化、ゾンビAIの改造、ゾンビAIの修理、廃棄……とかデスネ」
「……自治体の許可とかは?」
「取ってないデース。その代わり相場の半額以下でやってマース。あ、違法廃棄は倍の値段デスガ」
色々ダメだろ。
「な、なんでそんなことを?」
「申請が通らなくてどうしようもない人のためデス」
ドクターによると、亡くなった身内をゾンビ化してでもそばに居たい人や、手続きをしないでゾンビAIの廃棄がしたいユーザーなど、需要はそれなりにあるらしい。
「ま、まあ逮捕されないように気を付けてください」
「すらぐちゃんも改造したくなったら言ってくだサーイ。目からビーム撃てるようにできますヨ」
「ろーくん! ボクもビーム撃てるようになりたい!」
「ならなくていいから」
Xメンじゃねえんだぞ。
ドクターはこのゾンビスラムに住んでいる野良ゾンビ達の手助けもしているらしい。だから襲われないのか。
世の中には色々な人がいるんだなあ(思考停止)。
「ケーキとっても美味しかったデース。また頼みますネ」
「おう、ありがとな」
「配達来るときはまたすらぐちゃんを連れてきてくださいネ」
「……それはちょっと考えさせてくれ」
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