第25話 理想の女の子
「さて、この間のゲーム勝負でボクのAI性能の凄さを体験してもらったわけだけど」
「体験した記憶はほぼないけどな」
「まだまだあるんだよね~」
「なにが」
「ボクのスペシャルAI機能」
「さいですか」
「あ、信じてないね? ちょっと紙とペン貸してよ」
「え? ああ……」
すらぐちゃんに紙とペンを渡すとスラスラと何かを書きだした。すらぐちゃんだけに。……は?
「できた」
「どれどれ……えっ! すげえ、俺の似顔絵じゃん!」
しかもめっちゃそっくり。まるでモノクロの写真みたいだ。
「いやこれは普通にすごいわ。見直したぞすらぐちゃん」
「ろーくんの指示で理想の女の子を描くこともできるよ」
「マジかよ!」
ちょっと興味あるなそれ。
俺はすらぐちゃんに色鉛筆を渡して理想の女の子を描いてもらうことにした。
「じゃあ、女の子の特徴についていくつか質問してくから答えてってね」
「おっけ」
「人間ですか?」
「人間だよ」
え、そっから? 幅広いなおい。
「ちぇっゾンビじゃないのか」
「ゾンビ娘も対象なのかよ」
「髪型は?」
「ん~、ゆるふわガーリーロングヘア?」
「ふふっ」
「なにわろとんねん」
「ごめんごめん。えーと、身長と年齢は?」
「身長はまあ、低め、かな。年齢はプラマイ2くらい」
「ほうほう。セクシー系? キュート系」
「アイドルソングみたいな質問だな。まあ、キュート系かな」
「性格は?」
「そうだなあ、ザ・女の子って感じの子より、男友達みたいな感じで気軽に話せるほうがいいかな」
「……童貞の妄想じゃん」
「え、なんだって?」
「なんでもないよー。じゃあ今までの情報で描いてみるね」
描き描き……。
「出来た」
「お、見せて見せて、うわめっちゃ可愛いじゃん! あれ、でもこの子どっかで……」
「実家はケーキ屋の設定だよ」
「イフ先輩じゃねえか!」
すらぐちゃんが描いたのはイフ先輩だった。
「男友達みたいってところと身長低めってとこを強調しすぎだろ」
「運命の女の子、意外と近くにいるじゃん」
「先輩はな~。遊び友達ってか、兄貴と弟分っていうか」
「じゃあもっと身近にいるボクでも良いよ」
「そんな簡単に俺の運命を決めるな」
「ミディアムショートの女の子は好きじゃないんだなろーくんは」
さっきの質問でロングヘアが好きって答えたのが気に食わないらしい。
「すらぐちゃんはさあ、ゾンビ化した年齢ってヨウちゃんくらいの年だろ。俺と年の差5、6才はあるじゃん」
「もうゾンビだからそんなん関係ないし。ろーくんがご近所さんにロリコン人外好きの疑惑をかけられるだけで」
「そんなん絶対勘弁してくれ」
「じゃあろーくんもゾンビになろうよ」
嫌だよ。
「でもでも、結婚する前に同棲した方が離婚率が下がるっていうデータもあるし、ボクたち今いい感じに同棲できてるじゃん」
「自分がゾンビなうえにAIだって忘れてないか」
まあでも、すらぐちゃんくらい気軽に接して暮らせれば、幸せな結婚生活が出来るかもしれないな。
……本人には言わないけど。
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