第24話 AIゾンビとゲーム勝負



「すらぐちゃんさあ」



「んー?」



 パリパリ



「前々から思ってたんだけどさあ」



「んー」



 ごくごく



「あんまりAI感ないよな」



「なっ」



 パリッ



 休日。寝っ転がってテレビ見ながらハッピーリターンをつまみに酒を飲んでいた自称ゾンビAIことすらぐちゃん。



「失礼な。ボクはどこからどう見ても最新型の高性能ゾンビAIだよ」



「うーん……でもなあ……」



「この完ぺきなボクに何か疑問がおありで?」



「ちょっと知識というか、学習データが偏ってるよな」



「にちゅんねるとYourTubeとツイーターで大体この世の全ての知識が得られるよ」



 得られねえよ。ソロモンがドロップキックかましに来るぞ。



「お悩み相談の回答もほとんど適当だろ」



 すらぐちゃんはYourTubeで「すらぐちゃんの懺悔室」というお悩み相談チャンネルを配信している。

中々結構人気があって、収益で我が家の家計の助けになっている。

それはまあありがたいんだけど、相談者への回答が毎回マジで適当なのだ。リスナーはあの回答で満足してんのか?



「あれはあれで良いんだよ。愚痴聞いてほしいだけみたいなもんだから」



「本当かよ」



「彼女いないろーくんには女さんの気持ちなんて分からないでしょ」



「……はい」



 急に刺してくるじゃん。



「あれはボクの高性能AIの計算にとって導き出した最良の答えなんだよ」



「さいですか。で、他になんかできるの? 高性能AIちゃん」



「あ、なんか馬鹿にした言い方~」



「してないしてない」



「じゃあボクとゲームしようよ。ボクが全部勝つから」



「お、それは面白そうだな」



 AIが囲碁とか将棋でプロに勝ったりするし、すらぐちゃんにもそういう機能が搭載されているのだろうか。



「で、すらぐちゃん、なんのゲームがいい?」



「メリカやろメリカ」



「レースゲームかい」



 頭脳戦じゃねえのかよ。



 3、2、1、ゴー!



「いけいけいけ! はいミサイルミサイル!」



「なんですらぐちゃんミサイルばっか出るんだよ! ずりいぞ!」



 絶対ゲームシステムに介入してるだろ!



「はいゴール! ボクの勝ち~」



「ハッキング系は禁止!」



「え~」



 2戦目、スマッシュシスターズ。



「格ゲーかよ!」



 これもAI関係ないだろ。



「うりゃうりゃうりゃ!」



「ちょっすらぐちゃん、画面見えな、おい、膝に乗るな抱き着くな!」



「はいまたボクの勝ち~」



 めちゃめちゃ視界妨害してきた。小学生みたいな勝ち方するじゃん。



「今のところ全然AI生かせてないんだけど」



「え~。じゃあ次はボクのとっておきを見せてあげるよ」



「もうどうでもよくなってきた」



3戦目、ポッキーゲーム。



「……は?」



「はい、ろーくんそっち咥えて」



「いやこれは違」



「ん~」



「んっ!」



 ぽきっ



「はいボクの勝ち~。ろーくん弱すぎ」



「…………」



「どう? AIに負けて今どんな気持ち?」



「……最後に俺が決めていい? ゲーム内容」



「え?」



「次はテキーラショットね」



「……え?」



 余裕で俺が勝った。



「うう……気持ち悪い……頭痛い……」



「キャッシュクリアでもすれば?」



「くっそ~次は覚えてろよ~……あっだめだろーくん吐きそう」



「うわやめろトイレいけ!」



「ごめん」



 みんなは適量で楽しくお酒を飲もうね。

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