第10話 シスター襲来



「……グー……Zzz」



 ……。



 …………。



 ~♪



「……Zzz」



 ~~♪



「ん……」



 ピッ



「はい、羽香森です……」



「もしもし!! ロウにぃちゃ~ん!!」



「声でか」



「これからロウにぃちゃん家行ってもいい~?」



「あ~これから……? いやヨウちゃん、俺今夜バイト……」



「ろーくん、電話……?」



 妹の声がデカすぎてすらぐちゃんがスリープモードから起きてしまった。



「ん、あー、妹とちょっと」



「ロウにぃちゃん今の女の声だれ!?」



「いや俺の声俺の声」



「絶対ウソじゃん!!」



「というわけで俺バイトなんで、また今度……」



「もう家の前来てるもーん!」



「……は?」



 ピンポーン



「いやなんでもう来てんだよ」



 ピンポンピンポンピンポン



「うるせえ!」



「ボク出るね」



「あっちょっ」



 ピンポンピンポン



「はいはーい今出ますよー」



「待っ」



 ガチャッ



「ロウにぃちゃん! 今の声……」



「こんにちは。ボクはすらぐちゃんだよ」



「えっ……あ、ども。ヨウです……」



 __ __



「改めまして、ヨウはロウにぃちゃんの妹のヨウです! 15才です!」



「ボクはゾンビAIのすらぐちゃんだよ。よろしくね、よーちゃん」



「すーちゃん! よろしく!」



「はあ……」



 出会っちまったぜ。うるせえやつらが。



「ろーくん妹がいたんだ」



「まあ、一応な」



「一応?」



「ヨウは義理の妹なんだよ!」



「ふーん、えっちじゃん」



 えっちじゃねえよ。



「俺とヨウは施設育ちでさ。二人とも同じ里親に迎えてもらったんだ」



「羽香森さん家のろーくんとよーちゃんってわけだね」



「ヨウちゃん、父さんと母さんは元気か?」



「元気だよ! あ、これお母さんが持ってけって」



 ヨウちゃんから保冷バッグを受け取る。



「ありがとう。うわ重っ、なんだろ、イナリかな」



 母さんの作る炊き込みご飯のイナリ寿司はマジで美味いからな。



 ぱかっ



「ビールじゃねえか」



 缶ビールがいっぱい入ってた。どうりで重いと思った。



「贈り物で貰ったけど、二人とも飲まないからあげるって」



「父さんも母さんも酒弱いからなあ」



 俺が成人になった祝いで飲んだ時は、3%のチューハイ缶を二人で分けて飲んでた。それでも酔っぱらってたしな。



「てかお兄ちゃん! いつの間にゾンビAIなんて買ったの? しかもめっちゃ可愛いし!」



「ろーくん、ボク可愛いって」



「はいはい可愛い可愛い」



 ヨウちゃんに、すらぐちゃんを拾ったときの事を話す。



「すらぐちゃんが捨てゾンビだったなんて……こんな可愛い子を捨てるなんて許せないね!」



 ロウにぃちゃんぐっしょぶ! と肩を叩かれる。



「はあ……じゃあ俺、バイト行ってくるから」



「ろーくんいってらっしゃい」



「いってらっしゃーい!」



「ヨウちゃんも帰るんでしょ」



「ヨウは今日お泊りするってお父さんとお母さんに言ってきたから、すらぐちゃんと遊んでまーす!」



「いえーい」



 泊まってくんかい。



「まあいいや。じゃあすらぐちゃん、ヨウちゃんと仲良くね」



「かしこま!」



「すーちゃん神アイドル~!」



「変なこと覚えさせんなよ~。お互いに」



 出会って3秒で仲良しじゃん。



 バイト帰りにコンビニでデザートでも買ってくるか。

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