第21話

「おにーちゃーん居るー?」


扉を開け、入って来たのは穂乃香だった。

お前、俺が出る時ぐっすりだったじゃねぇか、早すぎだろ。



「きみー、誰の妹?ていうか、予想外れたー」


藍沢が話かける。

スゲー、俺も初対面の相手に対してこんな感じで行けないかな?

と言うか、なんで穂乃香がここに?


「私は予想通りの女じゃないのさ」


と、言いながらこちらに向かって歩いて来る

それは格好つけて言うことなのかな


「じゃあ、君のお兄さんは友近だと、俺は予想する」


「せいかーい」


思い通りの女じゃなかったのかよ

最近思って来たけど穂乃香ってなんも考えずに話してそう


「やったー、それでどんな用が来たの?」


穂乃香に関わらず陽キャってみんなそうなのかな?

でも、後先考えてると会話に乗り遅れるから、皆そうなのかも知れない


「あ、そうそう、お兄ちゃんお弁当忘れちゃった、どうしよ」


こちらに向かって笑いながら

どうしよ、なんて言っているがそんな困ってるようには見れない

なぜだ...?


「そうですね、すみません」


「え、なんでお兄ちゃんが謝ってるの?」


「いや、なんか今日調子悪くて、お弁当を作るのやめて今日は学食ですませようとしたのを言ってませんでした。すみません」


見苦しい言い訳を早口で言ってしまった。

ふつーに作るの面倒だっただけなんだけどな

と言うか調子悪いやつがこんなに早く学校来るわけ無いだろ

いままで一人分のお弁当しか作ってなかったから作らなくて困るのは自分だけだと思っていた。これからは、学食で済ませるとき穂乃香に言わなきゃいけないのか


「え、お兄ちゃん大丈夫なの?」


なんかめっちゃ真顔なんだけど、もしかしなくても、これ騙せてるくね。

あーどうしよ、こんなんでしっかり心配してくれる子だから、「まだ、ちょっと〜」みたいな事を言うと余計に心配されそうだからここで言うべき言葉は一つ


「ええ、今は大丈夫ですよ」


「ええー、ほんとにー?」


と、なぜか、こちらに対し懐疑的な視線を向けてくる

急に顔を近づけてきて、いわゆるガチ恋距離になると額に少し暖かい感触ができる

なんで、どうして、が頭の中でいっぱいになってると

穂乃香の顔が離れ


「うん、熱は無いみたい、無理はよくないからね、じゃあ私は自分の教室に戻るね」


といい一年の教室がある方に去っていく

すると藍沢が


「これがてぇてぇってやつか」


真顔で言っていたのをショートしかけた頭でもはっきりと覚えているほど印象的だった

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