第17話

うーん気まずい

いや、気まずくは無いんだけど、帰り途中、前方に穂乃香の姿が見える。あの金髪は見違えない、一緒に暮らしてて思ったのだが女性の髪って手入れが大変だし時間思った数倍かかるのは流石にびっくりした。あの努力はとても凄いと思う。

その努力の賜物とも言えるあの癖のないサラサラロングヘアーは見間違えない

染めてるのだったら、余計痛むし、ほんとに尊敬

というか、休日とか意図しないとき、友人とか、知人に会った時、反射的に逃げてしまうのはなんでだろう

そして、今は結構ギリギリの距離を保ってるから、わからないと思うがこのまま気づかれずに家まで行けるだろうか?なんならそこら辺のコンビニで時間を潰してしまおうか?

...いや、まて、鍵俺持ってるくね!?

いやいやいや、落ち着け俺、俺が持ってなかったら穂乃香が持ってることにならないか?

よし、探そう、今すぐ探そう


..........あったよ、鍵

まじか

今度二本目作ろう、はぁ父さんが鍵持って行かなければ、こんな事にならなかったのに、俺も、一緒に出掛ける時渡しておけば良かった、くそぅ。

女の子を待たせるにはいかない!どうする?どうやって穂乃香を追い越し、かつ見つからずに家につけばいい?

.....

一つしかないだろう、というか考えている時間がもったいない

走るぞ!


と、決めたがこの時、友近の中では現在一瞬とも言える時間の中で会議をしていた


「おいおいおい、本気で走ったのいつぶりだよ、転んで怪我してそれを穂乃香に見られたらどうすんだよ、最悪の事態を想定するべきだ」


「だまれ!女の子を待たせるなんて男として言語道断!転ばなければいい話!」


「なんだと、ちゃんと考えてから行動すべきだ」


「考えたさ、その上で女の子を待たせるのは、駄目だと言っている」


「はぁ?」


「あぁん?」


「「どうする!裁判長」」


「んー確かに本気で走ったのは最近じゃないけど、転ぶ転ばないで話進んでるんだったら体育の授業でふつーに運動してるし、なんなら毎日筋トレしてしてるよ、穂乃香に細くて心配されてから、腹筋も割れてる、やっと夢の細マッチョになったんだこの筋肉たちをここで使わずいつ使う?」


「たしかに」


「いったろ」


「「「つまり、俺たちの答えは」」」


準備運動をする時間は無い!少しの怪我は承知の上!

筋肉をすべて使え!

うおおおおぉぉぉぉ!

走れぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!

一直線は駄目だ!穂乃香と鉢合わせてしまう、少し遠回り、そして穂乃香より早く、走れ!


「うぅっ」


くっそ、普段走らないから横腹が痛い!だが、止まるな!女の子を待たせるのは男として許されざる行為!

汗が目に染みる、前が見えにくい、だが次が最後の角、転ぶな!慎重に行け!

だが、決っして止まるな!

走れぇぇぇぇぇぇぇ!

家が見えてきた、穂乃香は...いない!

よし!間に合った

家の門の前に立ち、足の痛みと息苦しさ、達成感を得る


「はぁー疲れたぁ」


流石に久しぶりのガンダッシュは流石の高校生の肉体でも疲れる、早く家に入って風呂に入ろう、そして寝よう


「ん?どしたの、お兄ちゃん」


!?!?

角を曲がって出てきたのはスマホ片手に悠々と歩き出てきた穂乃香だった


「ジョギング?制服で?」


「いや、あの、えっと」


なんて言おうか?「お前を待たせたくなかったからな」なんてイケメン発言俺には無理だ!恥ずかしすぎて死ぬ!いっそのこと、そのまま頷いてしまおうか、でも制服でジョギングって普通にするくね?...いや、しないな

そして、こういう時って悪い事してたのがバレた感じがするのはなんでだろうか。


「もしかしてだけど、私を待たせないために、急いで来てくれたの?」


「っ!」


しまった、顔に出た。

ニヤニヤしてる。これはバレましたわ

言わせんな恥ずかしい、って言ったら丸く収まりそうなのに、というかなんで分かんだよ、数週間の関係だろ、ギャルすげーなおい

そんなことを考えている内に穂乃香が扉に向かって歩き出す

そして俺とすれ違う時。かすかだったが、確かに聞こえた。


(「ありがと、お兄ーちゃん」)


急いで振り返るとそこには耳を真っ赤にしてる穂乃香の後ろ姿があった

走ったせいか、体が熱かった


鍵、開けられ無いじゃん

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