第5話

段ボールを持つと、運び始めようとすると

急に後ろから穂乃香が出てきて


「お兄ちゃん、一人じゃ重いでしょ、私も持つ~」


と言い段ボールの片側を半ば奪うような形でもつ。

これは、実際のところ、かなり楽になった

だが、その代償に心拍数が跳ね上がった

ちょっと心臓、痛い気がする。


「お兄ちゃん、腕とか細くて身長高いからかっこいいけど、その代わり非力で、か弱そう」


うぐっ、痛いとこを突きやがる

確かにそうだ、この間、部屋の模様替えしようとして、タンスが動かせなかった

から、中身全部出してギリ引きずって移動できた、あれは辛かった、最初の元気な内は結構動かせるけど中盤になって来ると疲れ切って、やり切るのも、戻すにしても中途半端になっていて、結構精神的にも辛かった。いつになっても筋肉痛が治らなくて。

その時は、『もう俺、真ん中にタンスがある部屋で、一生生きていくのかなぁ』

とか考えた。1ヶ月後くらいに戻せたけど、引きずった後が出来た。

でも、かっこいいっていってくれた。

うれしい!


「あの、ありがとうございます」


ん?なんでお兄ちゃんはか弱いと言われ感謝してるんだ?

あれか?男の娘をめざしてるのか?

いや、それもあり、か


「いやいや、頼んでいるのはこっちだし、こっちがありがとうだよ」


まっすぐ、こちらを見て感謝の言葉が

送られる...気がする。

実を言うと、一緒に段ボールを持ち始めた時から

目を会わせられていない、というか、顔を見ていない、段ボール見てる。

だって、会って数週間の同年代の女性だよ!

「今日から義妹です。学校から近いから一緒に暮らそ。 お兄ちゃん私可愛いけど、変な目で見ないでね」と言われても、女性として見てしまうのは仕方ないでしょ。


「そう、ですか」


何も言わないと失礼だと思い、絞り出した声で返事を言う


「お兄ちゃんもしかしなくてもキンチョーしてる?」


と、こちらの顔を覗きこんで、言う

その後、確信したような、あからさまに口角が上がると


「お兄ちゃん、かわいい~」


終始ニヤニヤされながら一緒に運んだ、何も言えなかった。

________________________________

「は~終わった~」


大きなため息をつきながら、リビングでくつろぐ、

その姿、全く失礼や、遠慮という言葉が自分の辞書に無いらしい。


「お兄ちゃん、お腹すいたー、ということでこれから、家事の当番決めをしまーす」

イエーイ パチパチ


お腹がすいたから当番決めすんの?どういうことだろう?


「わかりました」


と言い、座る


「さてと、何から決めれば良いんだ?」


そ こ か ら か 。


「洗濯、料理、掃除ぐらいじゃないですか?」


「じゃあその三つか、じゃあ洗濯から決めよう!」


まじか、羞恥心とかないのかこの人は?


「あ、あの、洗濯とか掃除は人のプライベートを侵害する、の、では

と、オモイマス」


あ、このイケメン気遣いできるんだった油断していると惚れちまいそうだぜ。


「んーまぁ洗濯物は気にしないし、自分の部屋は自分で掃除したほうが勝手が分かっていいか、」

「そう、ですね」


洗濯はいいのかそれで

もしや、てめぇ、女じゃねえな

.....否、お胸にたわわに育った物がその考えを否定してくる。


「さっきぐらいって言ってたけど、詳しく言うと何があるの?」


「洗濯は洗濯する、干す、取り込む、畳む、料理は買い物、調理、皿洗い、掃除は各場所の掃除位だと思います。」


「わぁ、買い物以外できる気がしない」


箱入り娘だったんだな


「...そうだ!お兄ちゃんが教えてよ」


「.....えっ、あ、わかり...ました」


家事をする気があるんだったら

元から出来そうだけどな。

そんな事を考えていると

「ぐぅ~」という空腹を主張する音が聞こえる。

自分で鳴らしていない事から、穂乃香の方を見ると、

そこには真っ赤に赤面したが穂乃香いた、いや、洗濯物はいいのに

そっちは恥ずかしいのか


「あの~お兄ちゃん、先に料理を教えて欲しい、かな」

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