間話 紹介文の話

いつも通り学校へ行き、下駄箱を開けると一通の手紙が入っていた

最近は減ってきたが、無くなる気配は一向にない

多かった日はまじでいっぱい、いっぱいだったからこれでも減ったんだけどな

嬉しくない訳では無いんだけど前に知らない人といきなり付き合うってなったら嫌じゃん、というか怖い、友達からお願いしたい。

取り敢えず手紙をバックにいれ教室に向かう


廊下を歩いていると黄色い声が校内に響き渡る

自分の容姿が良いことは自覚しているが、やはりこういうのは

気持ちが良い、そんなことを楽しんでいると

誰かの会話が耳に入る


「ちぇ、調子に乗りやがって、言っちゃって下さいよ西松さん」


「そうだな、一発、ガツンと言ってやらんとわからんからな、ああいうのは」


ヒェッ、なんかヤンキーっぽい人たちがこっち見て何かこと話してる早く教室行こ、

早歩きで教室に向かうが、後ろから肩を叩かれ声をかけられる


「ちょっとお話良いかな」


良いわけ無いんだよなぁ


「はい...」


なんか、階段裏の人が全く居ない物置みたいなところに連れてこられた

こう言う所ってほんとにあるんだ


「お前調子に乗り過ぎなんじゃないか」「なんじゃないか」


何もやってないよ


「すみません」


「そういう所だよ!」「だよ!」


どういう所?まじで。分かんない、こわいよー


「すみません」


「そうやって謝ってるだけじゃだめなんだよなぁ、誠意を見せてもらわないと誠意を」「そうだそうだー」


「じゃ、じゃあ何をすれば」


「そうだな...学校のすぐそこにコンビニがある。そこで『期間限定ふわふわ!生クリームたっぷりメロンパン』を買ってきてもらおうじゃないか。この、最近新しくなった500円玉でな、」


といい、500百円玉を見せてくる

これがパシリなのか


「わかりました」


「わかりゃ、良いんだよわかりゃ、もちろん釣りはいらねぇ定価150円だから友達とジュースでも買って来るん...だ.....な」


この時西松に電流走る。

もしかして、もしかしなくても、こいつ、友達いないんじゃないかと

それを裏付けるように自分は一度も加賀と誰かが楽しそうに談笑しているところを見たことが無い

その考えが出た瞬間本当は根の良い西松は無意識に言葉が出ていた


「友達になろうぜ」 


「ちょ、西松さん!?何言っているんですか」


周りにとっては支離滅裂な言動

に聞こえるが、加賀 友近にとっては、そんな事はどうでも良く

とてつもなく、嬉しいことだった

呆気を取られていると

階段の上から3人の女子学生が駆け下りてきて


「ちょっとちょっと、変なこと言ってんじゃないわよ」


「はぁ、これだから男子は」


「ハイハイ、友近君は教室に行こうねー」


と、言われひっぱられて行く

え、まってまってまってまってまってまってまってまってまってまって

まって、友達なります。ならせてください

『期間限定ふわふわ!生クリームたっぷりメロンパン』いくらでも買って来ますから

___________________

教室に入り、陰鬱な気持ちで手紙があった事を思い出し先ほどの手紙を開けると

案の定だった、「放課後、最後の二人の時間にて」という時間指定の

とこだけ初期の厨二病を感じる手紙だった。

友達を作るチャンスを無くした

という事に気を落としまくった友近は手紙の断り方なんて考えずに

否、もう、全部どうでもよくなって授業の内容が入って来ず

友達の件以外何も考えず放課後になったが、帰る気が起きず、座ったまま

でいると、声がかかる


「あの、すみません、用事とかあるだろうに呼んじゃって」

「ふぇ?」

「私は断れると思っていますが、この気持ちはちゃんと伝えたいんです。」

「は、はぁ」

「友近さん、ずっと好きでした!付き合って下さい!」

「え、あの、えっと、あの」


あ、あの手紙の事か!

考えてなかった

どうしよ、どうやって断ろうか


「あ、あのできれば今日、今返事が欲しいです」

「あ、はい」

「「.........」」


どちらも喋らなくなり空気が悪くなる、そして少したつと


『ガラガラー』


俯きながら、西松が入ってくる


「加賀、居るかー?あの、昼間の事は悪かったよ、だからー」


西松が話ながら顔を上げると


「悪い、邪魔した」


オイ!行くな戻って来い、なんでそうなる

あぁ、また、チャンスを逃した...

次はいつチャンスが来るのだろうか、

いやね、自分から話さなきゃいけないってのはわかってるよ   

わかってるけどさぁ、相手の気持ちを考えてみろよ。

友達と楽しく学校生活を送ってると、いきなり、普段喋ったことのない知らない

奴がキョドりながら話に来るんだぞ

嫌に決まってんだろ!

はぁあ

不機嫌オーラを振り撒いていると。

なんか急に泣き出して


「なんか、ごめんね、何にも知らない女に急に告白されてさ、

あまつさえ、早く答えを教えろって」


そこまで言うと泣きながら続きを言う


「言いにくいもんね...ごめんね...

いいよ、今日のこと忘れて、私は君がそんな顔してるほうが嫌だもん

じゃあね、」


そこまで言い扉の前まで歩くと涙でぐしゃぐしゃになった顔でふり向き無理やり作ったような笑顔で


「バイバイ」


そういい、教室から出てると、走り去る音と泣き声を押し殺した声が学校に響く


こういう事は何度かあった、毎回うまく断れなかった時だったから

ちゃんと断り方を考えるようにし始めた時には、うまく思いつかず、授業中にずっと考えて内容が入ってこなかったり、寝なかったことだってある

いつも気を付けてたはずなのに今回は友達を作るチャンスをなくしたという

くだらない事で一人を傷つけた、その傷は簡単に治るものじゃない

上手く断れなっかた人たちの中に一か月くらい学校に来なかった人もいる

こんな、気持ちにならないためにちゃんと考えてたのにな

いつまでも理由は自分だな、最低かよ、だから友達居ねぇんだよ


いつもより遅い足取りで学校を出ると


「よう加賀、俺よりずいぶん遅いじゃないか」


「なんでいるんですか、下校時間はとっくに過ぎていると思いますが」


「お前がなんて言ったか知らないけどよ、女を泣かす奴は最低だぜ」


「すみません」


「これ、やるよ」


といい、『期間限定ふわふわ!生クリームたっぷりメロンパン』が差し出されていた

それを受け取ると、「元気出せよ」と言い、帰っていく

それを見て家に帰りながら受け取ったメロンパンを開け、食べる。その名の通りパンがふわふわで生クリームが多かった。甘さが控えめなのも良い。結構美味しかった。

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