第2話 みんなに優しいギャルは存在するのか

「は?」


声に出てしまった、そう思うくらいには信じられなかった

だが、そんなことはどうでもいい、何故なら今から食事に行かなければ

いけないからだ

今まで寝ていたから服はしわくちゃだから着替えないといけないし

最低限の会話デッキも考えないといけない

終わった


「まあいいとりあえず着替えよう」


クローゼットの前に立ち今日着ていく服を考える

父さんはスーツだったし制服での方が良いのかな

自分が通う上野原高校は黒のブレザーにネクタイだが

ネクタイはつけないで行く

これは嫌いという建前の時間短縮である

よし、あとは会話デッキを作るだけだが

時間を確認すると6:39行くのに10分かかるから、

あと11分仕方ない

メールで遅れると伝えたほうがいいかと思い

15分ぐらい遅れるという旨のメールを送ると

すぐに返信が来る


『わかった、でも無理しなくていいからな、でも今回だけは来てほしい

これから家族になる人たちだ、顔ぐらい見せたほうがいいだろう』


やさしさが染みるぜ


「まあ、そんな父さんのために完璧な息子を演じるか」


そう口にすると自分の机に就き会話デッキと書かれたノートを取り出し

ペンをとり書き始める



まず名前を言う

話が続かないと感じたら 年齢、趣味、通っている学校のことなど 

質問されたら同じことを聞く


基本的にはここから話を広げる

相手の趣味について深く掘り下げるか、自分がどう感じたのかなど

難しそうですね(簡単そうは×)

それは具体的にどういうものなのか

やってみたいななど


これらは話が続かなかったり話を振られたときに使う

話しかけられたときの方が重要

はい、いいえだけではだめ

その質問に対し自分の感想、どんな事をしたのかなどを手短に


みたいなことを書いて瞬時に記憶する。時計を見ると現在7:00


「そろそろ行くか」


最後に姿見の前に立ち、身だしなみを確認し

扉を閉め、鍵を閉めて少し走って店へ向かう


走っていると、急に走ったせいか

横腹が尋常じゃなく痛い、手で横腹を抱えながら

無理やり走っていると

突然横からJK位の金髪の美少女、というかギャル?

が飛び出してくる。

まずい!このままだと古き良きラブコメの導入になってしまう

なんとか、なんとか、かわさなければ...無理だ、もうすぐそこだ

どうしよ、ギャルにぶつかったら脅される?お金とられる?

みんなに優しいギャルは存在するのか?

あぁ、今いくら持ってたっけ

いいや、諦めるな!まだぶつかっていない、まだあと0.5秒位あるはずだ

考えろ!とりあえず止まるか?

いや、相手も減速しているそのまま止まるとぶつかるだろうな、それなら

止まるより走ったほうが良いそして、そのまま横切る!




結果としてはぶつからなかったが代わりに気持ち悪くなってきた

近くにコンビニがあったのでとりあえずトイレに行くことを

目的に心の準備をしてコンビニに入る


「ありがとうございましたー」


めっちゃ気まずかったトイレだけ借りるのはおかしいかなと思い

用もなく商品棚を見て、なにか買おうと思って何を買うかは決めたのに

レジに行くのが億劫でまだ商品を選んでる振りをしたり

あ、でも今考えると、店内に長居した方が迷惑だったのでは?

買ってきた天然水を飲む。裏の成分表を見ると『原産地ストックホルム』と

書かれている。どこだよ


「はぁ」


無意識にため息が出る次からは気をつけよう

そういや父さん桐島さん達って言ってたな

この時、加賀 友近の脳内で

あるキーワード(多分)が浮かんだ

[桐島さん達][急いでる同年代]

[ギャルが向かった方向]

そしてそのキーワードが

繋がった


嘘、だろ

____________________________________

着いた、

レンガ造りでいかにも中世、西洋

的な事を言って置けば大体かっこいい

でも入ったらなんて言えばいいんだ?

多分

「いらっしゃいませ、お一人様ですか?」

だろう、だから返しは

「待ち合わせです」

こう言えば父さんが反応するだろう

そしたら店員さんが

「あちらのお客様ですか?」

と問うだろう、それに「はい」

と返せばいい

それともうひとつ.........


みたいな感じだろう

一応ついているかどうか父さんに確認しとこ

____________________________________

お店のドアを開けなかに入ると

予想通り「いらっしゃいませお一人様ですか?」と声がかかる

予想があっていたことに

一安心する

「待ち合わせです」

と予定通りのセリフを返すと

これまた予想通りの父さんから

「こっちこっち」と声がかかる

そして店員から


「あちらのお客様ですか?」


「はい」


そう、この加賀 友近という人間は自分のセリフや相手からの質問を

前もって予想しておくことができる更にその質問等に対する

回答を用意出来るのだ

故に加賀 友近は天才であり

偏差値60越えの上野原高校で

学年一の頭脳

と言われるようになったのだ

そんな天才、加賀 友近が予想した最後の予想は見事に当たった

父と共に食事をしているのは新たな結婚相手だと思われる女性

だけでなく先ほど、ぶつかりかけた金髪のギャルが居たのだ


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