星雲のソワレ(ゲーム続編)編
第42話 ファンディスクって本編よりも甘いよね
永久の煌き2 ファンディスク販売決定!
(キャアアアアアアア!)
今度の舞台は…海洋リゾート地!?
彼の水着姿…
ちょっと危険な恋も…
新キャラクター登場!
主人公が、選べる!
夢を見た。
夢というか前世のとあるイベントの再現だった。
「永久の煌き(通称とわきら)」は前世、とてつもない人気を誇っていた。
グッズやイベント、二次創作などたくさんのファンがいた乙女ゲーム。
その人気にあやかり絶頂期にはゲームがよく出たものだ。
初代のハードを変えた移植またはリメイク作品、目覚まし機能などのアプリ
中でも本編後のお祭りゲーム、ファンディスク。
「永久の煌き2~
本編のその後が収録されているそれは、難易度が低い割にイベントが濃厚で、特に主人公との恋愛や恋愛対象である方々の人間模様などが色濃く描かれている。かつ本編のデータがあれば確立させた関係のまま物語に突入するため、ファンからは「神サービス」やら「シナリオが甘すぎる」「そっち方面では見てなかったけどあんな描かれ方なら考えてしまうな」などいろいろな声が上がった作品なのである。
「休暇…?」
「はい」
「えっと…わたし、だいぶ休んだと思うんだけど」
「それは静養です。体調不良のため体を休めるものです。今回はリフレッシュの休暇を取ってください」
確か、ソワレでもそれが始まりだった。
「私より、ロキがとった方がいいんじゃないかしら。だいぶ働きづめだし」
これは本心だった。私が倒れてから、ずっと働いている。私ばかり休むわけにはいかない。
「…陛下もご存じでしょうけど、今は個の負担を軽減するべく、システムの改革を行っているのです。それでだいぶ仕事は楽になっています。それに今はこの改革が楽しくて仕方ないのです」
ロキの目は輝いていた。それは本当に嬉しいキラキラのようにも見えるし、少し怪しいギラギラのようにも見える。
「…まあ、ロキがだいじょうぶならいいんだけどね。でも私がいない間はどうなるの?」
この世界の王は世界中の気候や環境の安定のため、聖魔力を世界中に流し込んでいる。それは王という立場であれば、城にいるだけですべて行うことができるのだが、城から離れるとそれができなくなってしまう。
「…先ほどのシステム改革で浮かんだ案を実現しました。王立研究所との共同開発作品です。
陛下が王城におらずとも安定した聖魔力を供給できるシロモノ、『ソソグくん』です!」
正史ではなかったものがまたできてしまった。
この『ソソグくん』、大きな空調のようなもので、おそらくここから魔力が放出されるんだろうなあという空気穴のようなものがあいている。
「すごいけど、これってどういう仕組みなの?」
「これは普段、陛下が流している聖魔力の余剰分を貯蓄しておけるものなのです。陛下以外でも、例えばアリナ嬢でも聖魔力をこれに注げば、必要な分を世界に放出することができます」
ロキは前回私が倒れたことで、次にまた起きるかもしれない可能性を考えたのだろう。今回アリナという聖女は最初こそひどかったものの、根は素直なため成長してくれた。しかしそれは成功例でもしかしたら、誰もが彼女のようになるとは限らない。
アリナだって聖女をやめるかもしれない。そういった「もしかして」の未来のために作ったのだろう。
ロキの目は輝いていた。疲れが見えているときもあるが、決してそれだけではないのだ。
「ありがとう、ロキ」
「いいえ、礼には及びません」
「私に感謝をしているのであれば、是非ゆっくりと休んできてくださいな」
彼女は気品あふれる笑みを見せた。
「そう、ね。お言葉に甘えようかしら」
ゲームを楽しんでいたころは「ビーチでデートきたああああ」としか思っていなかったけど、実際人の思いに触れているから、ありがたく感じるなあ。
そうそう、この休暇の行き先はとある海洋リゾート地なのだ。そこである事件に直面するんだけど…ってそれはまだいいわ。
「ぜひぜひ。護衛兼お供に何人かを連れて行ってください。ああ彼はもちろんですがね」
そういえば、リュカとちゃんとデートしたのっていつだっけ?
…覚えていないくらい前のことか。少し寂しく感じたけど、今回はソワレが生で観られるのが楽しみ…。
「あ、お供要らない、っていうのは…」
「そういう場合は全員と行ってもらいます」
「ええっそんな大所帯で!?」
「ここ最近の騒動で長達にも本来必要のない負担をかけていますから。そのねぎらいです」
確かとわきら2で好感度が高いメンバーが選ばれるんだけど…みんなに好かれてたのね私。
「まあ、そういう意味ならみんなで行きましょうか。ロキは別の日にしっかり休んでもらいますからね」
「、わかりました」
こうしてとわきら2星雲のソワレまでの道のりができてきた。
何事もなく、ただただゲームの甘いイベントを追体験できる、させてください!という私の思いは
果たして報われるのだろうか…
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