第14話 王立図書館へ行こう
☆とわきら キャラ紹介☆
ノルズ・ドニエ
水の魔導師。王立騎士団魔導部団長。
赤茶色の癖っ毛、水色の瞳。プラス思考でとっても前向き。水の魔導師(長)ではあるが、聖以外の魔法を使うことができる。古代の魔法の研究や魔法を修練していくことが好き。騎士団長のスルトを尊敬している。
ロワン訪問の次の日。
「お願い!」
「……」
「図書館に行きたいの!もう暇すぎて耐えられないの!」
「…」
毎日の朝の訪問。ロキが私の様子を見に来るこの時がチャンス!
土下座する勢いで、私はお願いしていた。
(本当に土下座しようとしたら止められた)
「だってもう間もなく一週間よ?体力は戻ってきたんだから、いくら魔力の回復が遅くても、王城の中なら行き来してもいいんじゃない?」
(私が倒れたのバレてないよね!?)
「…」
ロキの無言怖すぎる!
でもでも、できれば正当な手段で図書館に行きたい。図書館で調べものだから、昨日みたいにコソコソしてられないし。
「…スルトかノルズを護衛にするのであれば」
「いいの!?」
「………ええ」
「ありがとうロキ、大好き!」
ロキ、女性の時もだけどスタイルがものすごく良いのよね。立ち絵よりも女性らしい体つきというか。
私がまじまじとロキを見ているのに気づいたのか、無理やりはがされた。
そしてお母さんみたいに約束事を話して(定刻までに戻ることや行動は必ず護衛と一緒に行うこと、迎えが来るまでは私室で待つこと等)退室していった。
(よし!それじゃあ持ち物を確認して、調べる時間は限られてるわ。動きやすいようにドレスはやめましょう)
侍女に出してもらったのは深緑色の襟付きのワンピース。ボタンに小さな宝石があるだけで、大きな装飾もないそれは、女王としての執務がないときによく着ている。
(執務じゃないから、貴族御用達のものじゃなくていいよね)
使いやすいのは貴族のつかうものではなく、ディンの開発したペンやノート。シャープペンシルのようにインクが芯になっていて、書き味も良い。試供品として色々もらうのだが、これがとってもいいものなのだ。
「女王陛下。ノルズ様がいらっしゃいました」
「わかったわ。ノルズのところまで、案内してくれる?」
「かしこまりました」
◇◇◇
「やあ陛下、呼んでくれてありがとう!」
わあ爽やか。心なしかキラキラが見えるわ。
ノルズは元気をくれるのよね。正統派のアイドルみたい。
「こちらこそ、付き添ってくれてありがとうございます」
「いやあ陛下が護衛を依頼してくれなかったら、ちょっと厄介なことになりそうだったんだ。本当に助かったよ」
「…そうなのですか」
何があったのかしら。困ったように笑っていたが、すぐに切り替えて図書館まで案内してくれた。
王立図書館。この世界の歴史の宝庫で、ありとあらゆる書物がある。恋愛小説や貴重な古代の資料、児童向けの紙芝居まで。司書に歴史の本の所在を聞くと目が光りやたら早口で聞かれた。寓話についてと伝えると少ししょんぼりしてしまったが、何とか目的の場所に来れた。
「陛下、おとぎ話なんて興味があるのかい?」
「うーん、興味というか、私の魔力が戻るのに役立ちそうなものがあるかな~って」
「聖魔力を与えた神の話だね。懐かしいな」
「…ノルズ、私の状態は変わってないでしょう」
「うん。残念ながら。回復薬などで一時的に魔力を高めて戻ることはできるとしても。すぐにまたなくなってしまうよ。根本的な解決にはならないだろうね」
私の魔力の状況は一般的に秘密にしてあるが、属性の長達にはそれが知れている。
「おとぎ話の聖魔力を与えた神は、再生の女神と呼ばれていたから。私の魔力ももとに戻るんじゃないかって」
かつての王が女神を閉じ込めた、と伝承されているくらいだ。
寓話からヒントを得られればと思う。
「面白いね、陛下は。ねえ僕の考えを話してもいいかい?」
「本当?王立騎士団魔導部団長の意見を聞きたいわ」
スルトには申し訳ないけど、ノルズについてもらってよかったわ。
「陛下は女神に会いたいんだよね。会って魔力を戻してほしいと」
「ええ、そうよ」
「かつてこの世界に「召喚魔法」というものがあったんだ。それを使えば女神を呼び寄せることができるかもしれない」
「召喚魔法…」
前世で見たことがある。描かれた魔法陣の上に、異世界人が召喚されたり、契約を結んだ召喚獣が出てくる物語を。
「…ただ、これには相当な魔力が必要なんだ」
「そうよね。対価が必要よね…」
「うーん…でも、何とかできそうな気もする」
「!どういうこと?」
「…なんとも言えないんだけど、もう少し時間をくれる?ごめんね」
「わかったわ。お願いするわね」
思わぬ情報を得たが、本来の目的である寓話の調査に戻った。
(ヨルドが言っていた再生の女神のシリーズを読んでみようかしら…それにヒントがあるかもしれない)
資料を引っ張り出そうとしたその時だった。
「ノルズ様ああ!ここにいらっしゃったんですね!」
図書館だというのを忘れさせるほどの大きな声が聞こえてきたのは。
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