おかしきかなこの世界
1 男女比がおかしい
アルダー=デル=ディアノベルク
エインズワート王国の西の端。
八柱神の一角たるハウメアが住まうとされる山々を臨む辺境を治める貴族 ディアノベルク家の長男は今年十五の歳を迎え、今日晴れて成人の儀礼が執り行われる。
「たかだか成人の儀礼で
「当たり前じゃないですか、アルダー様だから特別なんですよ。 ほらさっさとその可愛らしいお尻を出してください」
言うと、かれこれ五歳頃から身の回りの世話をしてくれている傍付きのメイドの一人 アンナが慣れた手つきで僕のズボンを雑にずり下ろす。
着替えくらい自分ですると言っても「それが私の仕事ですから」と言って聞かず、ささやかな抵抗に
「その口調もそうだけど扱い雑すぎない? 本来なら不敬でクビになってるよね」
「役得ですから
セクハラを役得で堂々通そうとは、昔は内気だった彼女も随分と図太くなったもんだ。
「そもそもアルダー様が私のように鋼の理性を持つ傍付きを今更手放すはずがありませんからね。 ちょっとしたスキンシップで済んでいるだけマシだと思ってください」
まぁそれは事実である。
あらゆる要因を鑑みれば今更彼女に暇を出すのが如何に愚策かは理解している。
彼女を筆頭に信の置ける数人の傍付きは、過去おイタが一線を超えかねなかった者たちが順当に淘汰されていく中、現在に至るまで現に鋼の理性とやらで僕の意と尊厳を尊重し、軽いセクハラ程度は交えつつもきちんと世話をしてくれる。
前世の価値観的にはおかしな話だが、今世においては本当に感謝してもしきれない大切な召使いなのだ。
そういう訳でほどほどのセクハラは役得というか、彼女たち(一人を除いて)が
あと前世の価値観があるので、生まれてこの方散々な目に遭ってきてはいるけど、比較的歳の近い可愛い女子にほどほどにチヤホヤされるのは僕としてもやぶさかではない。
セクハラはともかく、彼女らが僕好みの丁度いいほどほどラインを弁えているからこそではあるが。
そんな内心を明かしてうっかり淫乱ドM認定でもされようものなら僕の、ひいてはディアノベルク家の評判に響きかねないので「しょうがない」の
まぁ何だ、悪くはない。
「しかし男の尻なんて触って何が楽しいんだか……」
「楽しいしかありませんけどね。 他のどの
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