第23話

退院して約二週間が経ったころ、診察を受けに病院へ行った。


診察してくれた医師は、退院許可を出した“優秀だが高飛車”な医師だ。

傷や乳房を確認し、リンパの腫れや、切開した周辺が硬くなって痛むなどの症状は、良くなるのに2年はかかると説明してくれた。


2年か・・・、長いな。


待合室で、入院中に同室だった人に会った。

元気そうだ。

挨拶したついでに、優秀だが高飛車な医師の愚痴を聞いてもらった。

とりあえずその件は、高飛車だけど案外話すと良い人だ、という結論に至った。

確かに、そうかも。

でも、病人に高飛車な態度は、控えて欲しい。

今、心が弱ってるから。


入院中から続く腰の痛みは、引かなかった。

手術した部分を庇うように寝ているので、余計に痛みが強まっているようだった。

というわけで、思い切ってニトリで低反発マットレスを購入し使用してみた。

な、なんと!

高価ではないこのマットレスが、こんなに腰痛から自分を解放してくれるなんて!

期待以上に、順調に腰の痛みが治まったのだ!

まさに、お値段以上、だった。


二十日も経つと、腕も十分に上げられるようになり、洗濯物を干すなどの、腕の可動範囲の広さを要求される家事が楽になってきた。


以前のように過ごせるようになってきたことが、いちいち嬉しい。


こんな、自分の体と向き合って今までの生活を取り戻すだけで精一杯の時期に、子どもの小学校の次期PTA役員のことで、連絡が来た。


無駄に、胃が痛み始めた。

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