第7話 白磁④

「俺のこと、男だと思ってただろう?」はそう言って、ほくそ笑んだ。次第に笑いがこらえられなくなって、プッと吹き出し、「あはははは」と笑い出した。


「俺は実は、女なんだよ。お前が枯れて死ぬように、天から授かった力で、アレを搾り取るのが、仕事なんだ。」彼女はそう言いながら、僕に糸を使ってにじり寄ってきた。そして、こう言った。「お前は、今見えている世界が、夢だと思っているだろう?実はなあ、さっき飲んだ酒には、痛覚をなくす成分を入れてあるから、夢と現実の境目が分からなくなっているだろうが、これは現実だ。」僕は、目を見張りながら、「なんだって!」と言った。


「かわいそうになあ。俺のルームメイトは、俺が女であることも知らずに、俺の餌食になって死んでいった。お気の毒なことだぜ。」と言って、彼女は高らかに笑った。僕は、「じゃあ、僕のことも、もともと殺す気で呼んだのか?」と尋ねた。


彼女はこう言った。「お前は人がよさそうだからどうせノコノコついてくるだろうと思ったんだよ。おまけに、テキーラなんて毎日飲んでる酒なんだよ。お前は口車にササッと乗り込んで、俺の罠にチャチャッとかかっちゃったわけだ。あはははは。」と彼女は笑った。


僕は、こう尋ねた。「おい、お前はそんな悪い人間じゃないだろう?いい車に乗って、外国を走り回るのが夢じゃねえのかよ!」と。僕は、悪意に満ちた彼女の言葉がどうしても信じられなかった。


「どうだろうねえ。お前の精子をもらえさえすれば、なんでもいい人間が、悪い人間かねえ。」と彼女は言って、僕のお腹の近くに手を差し伸べてきた。「欲深いのはお前たちの方じゃないか?親も元気で実家暮らし、炊事洗濯を親にさせて、お前は学校の成績だけ取っていれば将来安泰なんだ。そんなお前が夢をまだ持っているなんて、贅沢すぎやしないか?」と彼女が言うと、僕の下腹部のあたりの蜘蛛の糸が弾けたように切れ、僕の陰茎がむき出しになった。


「なあ。俺たちは、これさえあればいいんだよ。いい加減、欲深い考えから目覚ませよ。」彼女はそう言いながら、僕を包んでいる繭に、8本の足でしがみつき、真っ白で琥珀色にヌラヌラと光り輝く陰唇を僕の亀頭に寄せてきた。「待て!やめろ!冷静になれ!」と僕は叫ぶ。


蠕動をする陰唇が僕の竿全体に覆いかぶさり、男根に順応するように穴が形を変えた感触があった瞬間僕は思わず喘いだ。「くあああ。」


思いもよらず気持ちよかった。そして、初めての挿入に、眩暈をおぼえるほどの快感を覚えた。僕は、理性と本能の間で揺らぎながらも、目を瞑った。


瞼で視界を覆った世界に、副島由美子ちゃんの姿が現れた。僕を、青い淫魔から救ってくれた女の子だ。彼女が、股間の暴発しそうな僕に言う。「私が代わりに犠牲になって、雷の力を授けたから。」と。僕は、『雷の力?』とつぶやいた。


先ほどの青い淫魔との戦いで、彼女は僕を守るために、死力を尽くしてくれた。その代償として、彼女はこの世からいなくなり、彼女が発した雷を僕が授かったということか。と僕は合点がいった。


僕は目を開けた。目の前では、白い淫魔と化したがこれでもかと言う程に腰を振り、僕から精気を吸い取ろうとしていた。しかし、僕はそんな攻撃で揺るがなかった。


「おい!」と僕は声高に叫んだ。「あ?」とは呆気にとられたように言った。僕は、眼光鋭くを射抜き、こう言った。「俺を玩具にするのはここまでだ。」


僕は、渾身の力で腕を左右に広げ、僕を包んでいる繭を引きはがした。僕の身体からは、電気がバチバチと放出され、空からは、雷鳴がとどろいた。


「おいこら!」とが焦ったように身体を引きはがし、陰唇を身体の中にしまった。が、そんなことをしていたために、隙を作ってしまったたのだった。


「インモラル!エクスタシー!」と僕は叫んだ。空から、青い龍が落ちてきてに直撃した。蜘蛛の糸は青い炎に焼かれ、雲散霧消し、も朽ち果てて消えた。


僕は、ぐったりした。自身の能力を使い果たしたような虚脱感に、僕は膝から崩れ落ち、地面に顔をぶつけた。ここまでの記憶が残り、目覚めると、僕がいるのは病院のベッドの上だった。

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