第5話 白磁②

ぼーっと女の人とオジサンを眺めていると、突然誰かが走ってきて、僕に体当たりして、僕をもんどりうたせてきた。僕は、後ろ頭を打ちながらずっこけ、状況がつかめないままに馬乗りになられた。


「俺は新入りは気に入らねんだよ。これは洗礼だ。」と言いながら真っ白で光沢のある短パンと白いスカジャンを着たは僕を睨みつけながら、数発僕を殴打した。


呆気に取られて僕はノーガードのまま殴られた。すると、オジサンがかけつけ、「お前やめんか」と言いながらの首根っこをつかみ、僕から引きはがした。オジサンが「新入りをイジめんのヤメいていつも言うとろうが?ああん?」と怒鳴ったら、言い返すようには、「なんでオッサンはいつもシケた面した地獄知らずみたいなガキばっかり連れてくんだよ!そいつらには俺らみたいな苦労は全然わからねえのに甘やかしやがって!」と言い返した。


オジサンは、「お前は自分がされた差別を人にしようとしとうな。」と言ったあと、「後でこいつに謝れよ!」とに言いすてた。は、「くたばれ世間知らず!」と叫んで集合住宅の闇に消えた。


オジサンが僕にかけより、「悪かったのう。あいつはいつもあんな感じで虚勢はっとんねわ。気を悪うせんといてくれや。」との代わりに謝った。僕が、「いいですよ。痛くなかったですから。」と言ったらオジサンは、「せやろ?あいつ、パンチ重くないやろ?ハハ!」と楽しそうに笑った。「あいつは全然鍛えんけえ、いつまでも弱い。」とはにかみながらつぶやいた。


僕は、新入り専用の部屋に通された。雑魚寝の共同部屋で、僕と年頃の近い薄汚い恰好をした男が4.5名いた。かくいう僕も、泥だらけになっているため、人のことは言えなかった。


漸く得たひとまずの寝床でしっかりと休むために、僕は深呼吸をして、寝ようとした。すると、「おい」「なあ」と誰かの声がする。僕は、「だだ、誰ですか?」と返事をした。そこには、さっき殴りつけてきた、がいた。

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