第7話 姉
電車の規則的な振動が、体中に伝わってくる。
電車の中は、自分の他にちらほら座っている人がいる程度だ。
僕は今、ヒナタの家に向かっている。
電車がゴウゴウと音をたてている。
ヒナタの家がある街に着き、僕は電車を降りた。
空はまもなく夕日が沈もうとしている。
少しだけ肌寒い。
僕は歩いて、ヒナタの家の前まで来た。
そっとドアノブに触れる。
ガチャっと音をたててドアが空いた。
家の中は、薄暗かった。先ほど見た僕の家のように。
家の中に入ると、1人の女性が椅子に座って泣いていた。近づいてみると、それはヒナタの姉であった。
「えっと……アカリさん、ですか?」
今は、僕はヒナタの家族のはずだから、姉に敬語を使う必要はなかった。しかし、僕はそんなことはどうでもいいほど、不思議な感覚に覆われていた。
アカリさんは、まだ泣き続けている。
「あの、僕は、実はヒナタじゃないんです。
本当は違う家族の人なんです。
僕はヒナタの友達です。
生まれ直し体験というものを使って、
ヒナタの家族を体験していたんです。」
すると、アカリさんはゆっくりと口を開いた。
「全部、私が原因なの。
ヒナタくんも、その弟のリョウマくんも、そして、あなたのハルくんも……」
ハルくんという名前を聞いて、僕は、体が震えていることに気がついた。
アカリさんは、話を続けた。
「私の父と母は、本当の両親じゃないの……
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