第4話 生活

食卓に、ヒナタの両親と姉と弟が集まった。


どうやら、僕はヒナタとして存在しているようだ。


4人と一緒に朝食をとる。

そんな体験を私は何回したことがあっただろうか。


「そういえば、来週は修学旅行があるんでしょ?

2泊3日?いいなあ〜」


ヒナタの弟が無邪気な声で言う。


姉は思春期なのだろうか。どこにも目を向けずに黙々と食べている。


不自然にならない程度に、僕は辺りを見渡してみた。すごく新しい雰囲気だ。これが、5人家族というものか。


■■■


中学校はヒナタと一緒で、しかも一緒のクラスであるため、学校で心配なことはなかった。


しかし、1番驚いたのは、僕がヒナタになっているなら、ヒナタが僕の姿でいると思ったのに、僕の姿の人も、ヒナタらしき人もいなかったことだ。


でも、今までと変わらずクラス人と話せるし、家に帰ったら元気な弟と無愛想な姉がいて、何ひとつ困ることはなかった。


■■■


修学旅行の日は、思ったよりすぐにやってきた。


僕は、この修学旅行で好きな人に告白しようとしていた。


僕がハヤトの姿の時に好きになった人を、ヒナタの姿で告白するなんて、どんなにバカげているだろうとも思った。


しかし、今私がヒナタの姿でいること自体がのだ。おかしい世界ならちょっとだけでもやりたいことをやってやろうと思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る