第3話 他の家族
『生まれ直し体験
〜もし他の家族に生まれていたら?を、3カ月間体験してみませんか?』
僕宛に届いた手紙には、そんなことが書かれていた。そして、一緒に契約書のようなものも入っていた。
『他の家族に生まれていたら』
それを体験することなど、どう考えても不可能なはずだ。なのに、僕には、これがとんでもない力を持っているように感じた。
試しに、自分の名前と家族構成を契約書に記入してみた。
その次には、体験してみたい家族を書くらしい。
僕は、ヒナタの家族を書いた。
理由は些細なことだ。
兄弟がいるということが、どんなに未知で、どんなに羨ましく思っているか、私の両親には決してわからないだろう。
こんなことを考えるのは、自分の家族にどんなに失礼かも分かっていた。しかし、契約書をポストに投函するまで、それほど時間はかからなかった。
■■■
どこかで目覚まし時計が鳴っている。
僕は眠い目をゆっくりと開けた。
いつも見た自分の家の寝室なのに、なぜか違う家のような気がする。
自分の家……??
起きて鏡を見たら、状況をすぐに理解した。
そうか、今日からか……
鏡の中の僕は、ヒナタそっくりの姿になっていた。
「おにーちゃーん、ご飯できたよー」
どうやら、弟が僕を呼んでいるらしい。
僕は1階におりていった。
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