不死身の男 ※残酷表現 強

この会で、飲み物が出るなんて思わなかったわ。でも、わたしお茶嫌いなの。このお茶あなたにあげるわ。じゃあ話を始めるわね。


ねえ、あなたは不死身になりたいと思ったことある?もしその方法があるならどんなことをしてでも手に入れようと思うのかしら。そんな考えを持つようならわたしは容赦しないわよ。うふふ。


わたしには背が高くて、イケメンで成績優秀の不死身の彼氏がいたのよ。あら、本当よ。わたし試したことがあるもの。彼がたくさんの女の子といちゃつくから、怒って包丁を持っていったことがあったの。その時、彼は「平気だから気が済むまで刺せ」というから、言うとおりに左胸に包丁を刺したの。刺した直後は血が吹き出ていたけど、すぐにその傷が塞がったわ。この目で見たから本当の話よ。


どうして平気なのか聞くと、彼はこう答えたの。


俺のに誰かが死んでる


わたしはその時の意味がわからなかったけど、彼が私の目の前で交通事故に遭ったとき、彼はピンピンしてたわ。そして同じ日に交通事故で亡くなったような死体が見つかったの。私たちと同じ学校の子。彼は「あの子が俺の代わりに死んだ」そう言っていたわ。


でも、そんな彼が殺されてしまったのよ。学校の部室で。百人の生徒とともにね。同じ学校の生徒が、別々の場所で殺された最悪の殺人事件よ。あまりにも悲惨で、難解な事件だったから報道規制されたほどよ。


腹立たしいことに、犯人はまだ捕まっていないの。殺されかたが奇妙でね、全員カッターナイフで滅多斬りに刺されて大量出血でなくなったのよ。百人全員よ。しかも場所もバラバラ。警察は頭を抱えたわ。犯人が複数犯だとしても、不可能に近い殺されかたなのよ。


犯人はきっと、彼の不死身の力を手に入れようとした人物だとにらんでいるの。わたしは絶対に犯人を見つけて、彼の無念を晴らすと心に誓っているのよ。


ねえ、あなたも協力してくれるかしら。一緒に犯人を見つけて始末してほしいの。

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