支配する男 ※残酷表現 強
やあ、こんにちは。
人の話を聞くのは疲れるでしょ。渇いた喉にお茶でもいかがかな?
ほら、遠慮せずに飲んでよ。うんうん、素直が一番いいよ。
じゃあ、僕の話をするとしようか。君の周りには、人を支配する人はいるかな。たくさんのイエスマンを引き連れて、しかも誰もその人の命令に絶対に拒否しない。
その絶対的な支配力を持つ者には理由があると思わないかな。僕はその秘密を知ってるんだ。
僕の学校にもそんな人がいてね。背が高くて、イケメンで成績優秀な男だったよ。彼にはすでに彼女がいたのに、たくさんの女の子を引き連れていた。彼の周りにいる人たちはそのことを指摘せず、むしろ肯定してたんだ。僕はその彼が不思議でたまらなかったよ。なぜ彼の言うことに多くの人が付き従うのか。
彼には秘密があったんだよ。僕はそれを偶然知ってしまったんだ。
部活が終わった時のことさ。僕は部室に忘れ物をしてね。取りに戻ったんだよ。
部室からなにか物音が聞こえてね。そのとき部室で男女のいちゃいちゃだったら嫌だなと思って、こっそりドアの隙間から覗いたんだ。
僕の予想通り、男女の二人がいたよ。でも、特に何も行動はしていなかったね。女子が男子に背を向けてたんだ。顔を両手で塞いでさ。何をしているのか気になって、目をドアの隙間に押しつけてよく見ようとしたよ。女子は顔を隠していて誰だかわからなかったけど、男子は最初に言ったイケメンの彼だったよ。また他の女の子を口説いているのかと呆れていたときだった。
彼の額から、一匹の蜂が出てきたんだ。あれは間違いなく彼の額から這い出てきたよ。僕はあのときとてもドキドキしていた。その蜂の行方を知ろうとさらに目を壁に押しつけたよ。蜂は女の子の頭に一直線に飛んでいって、頭を刺したんだ。びっくりしてその場で尻餅をついてしまったんだ。
「誰だ!」て彼の声が響いてドアを勢いよく開いたんだ。彼が目の前に立っていたよ。すごく怖い顔をしていた。僕は心臓がバクバクしていたね。でも彼はにっこり笑ったんだ。
「ちょうどいい、君も支配下においてやるよ」とね。僕はその声を聞いて恐怖で震えたよ。蜂に頭を刺された女子が僕をものすごい力で押さえるんだ。そして彼の額からあの蜂がみちみちと音を立てて出てきたよ。僕はなんとか女子の拘束から逃れて、ポケットのカッターナイフで額の蜂を狙ったんだ。蜂はスッと額の中に引っ込んだよ。でも僕はそのままカッターナイフを振り回し続けたんだ。
そうしていると、運悪く彼の体に当たってね、血が吹き出たさ。しかし、不思議なことにその傷はみるみる塞がるんだ。驚いたね。
「化け物!」僕はそう叫んで彼に飛びかかると、馬乗りで切り続けたんだ。
何時間たったんだろか。もう窓の外の夕日は沈んでいたよ。僕が息を切らしながら、彼を見ると、血で真っ赤に染まっていたんだ。僕はふと思いついたよ。額を切ったらどうなるのか。震える手でカッターナイフを押し当てた。まるで豆腐のように簡単に切れたよ。そしてその切り目から、蜂が一匹出てきたんだ、その蜂は静かに飛ぶと、僕の額に入ったんだ。
そう、ここにいるよ。さわってみる?僕はそれから支配する者に変わったんだ。この蜂は寄生バチの一種だったんだ。卵を産み付けた相手を支配できるんだよ。最近判明したんだけど、別に直接相手を刺さなくてもいいんだね。卵を体内に取り込む方法もあるのさ。例えば飲食物に混ぜたりね。
ねえ、さっきのお茶美味しかったかな?正直に答えてよ。
君は絶対に話してくれるだろう?
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